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第2節 

2 振動防止対策

 振動公害の発生源については、騒音公害の発生源と同一のものが多く、また、住民に与える影響も類似した傾向が見られるが、一方、振動特有の難しい面もある。すなわち、騒音の場合は、屋内では約10デシベル(dB)以上のしゃ音効果が得られるが、振動では、逆に増幅する家屋が多く、その増幅量は約数デシベル(dB)(振動レベル、なお振動速度比では約2倍)とされている。しかし、家屋構造、老朽度、周辺地盤及び振動特性によってかなりの差があり、地面上では全く問題のない振動であるにもかかわらず、室内では有感振動となり、苦情が発生している例も見られる(第4-2-2図参照)。また、相当低いレベルの振動でも壁、タイルのひび割れ等の物的被害に関する苦情が見られるが、これが振動によるものか、建物の老朽化やその他の原因によるものか等については現在のところ明らかでない。このように、振動公害については、振動伝播、地質、家屋構造等との関連について解明すべき面が多く残されている。
 個々の振動の発生源についての振動防止対策の推進状況の概要は、次のとおりである。
? 工場施設では、空気バネ、金属バネ、防振ゴム等による防振技術が進められており、その効果は約10デシベル(dB)とされている。


? 建設振動については、振動を発生する建設作業用機械の改良と併せて無振動工法の採用が多くなっている。
? 道路交通振動の防止対策としては、最近防振性のある舗装材料の開発、防振溝等の研究が進められているが、一般的には路面の損傷・凹凸箇所の補修により解決される例が多い。また、道路交通振動の発生は重量車両によるものがほとんどであることから、道路の改良と併せて、交通規制による手法も引き続き検討する必要がある。
? 鉄道振動の防止対策については、新幹線鉄道を中心にして、車両構造、軌道・路盤構造の改善等に関し種々の研究、実験が進められている。なお、今後は、発生源対策のほか、振動の伝播・減衰特性や家屋の振動特性等を勘案して、周辺対策を含めた振動防止手法に関する検討が必要である。

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