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第2節 

1 振動の現況

 公害として問題とされる振動としては、工場施設(鍛造機、プレス等)や建設機械(ジーゼルハンマー、振動パイルドライバー等)の稼動に伴い発生するもの、交通車両(自動車、列車等)の走行に伴って発生するもの等がある。その振動数は100ヘルツ(Hz)前後のものも見られるが、多くの場合は10〜30ヘルツ(Hz)程度であり(第4-2-1図参照)、また、その大きさは、0.3ガル(gal)〜10ガル(gal)程度(地震でいう、無感〜弱震位の揺れ)である。これらの振動に対する住民からの苦情内容は、気分がいらいらする、戸、障子がガタガタしてうるさい、物が揺れて気に懸る、不快に感じる、睡眠の妨げとなる等の生活妨害を訴えるものが主であるが、振動発生源に近接している場合には壁、タイル等のひび割れ、戸、障子の建付けの狂い等の物的被害も見られる。また、工業溶炉の燃焼等が発生原因となる超低周波の空気振動により、ガラス窓や戸、障子が振動する例も見られるが、これらは地盤振動とは区別して、超低周波空気振動(インフラソニック)と呼はれている。昭和48年中における振動公害の苦情発生件数は第4-2-1表に示すとおり全国で4,648件であり、振動発生源別に苦情件数を見ると、工場振動が60%近くを占め、次いで建設振動、交通振動の順となっている。なお、これらの苦情1件当たりの被害戸数は10〜20戸前後と推定される。

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