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第2節 

2 化学物質の審査及び製造等の規制等

 PCB(ポリ塩化ビフェニール)による環境汚染を契機として、48年10月「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」が制定され、難分解性等の性状を有し、かつ、人の健康を損なうおそれのある化学物質を事前に発見し、その製造、輸入、使用等を規制することとされた。
 同法は、49年4月16日から施行され、これと前後して必要な政省令、告示等の整備が行われた。
 まず、本法の運用上基本的な前提となる、既存化学物質(本法公布の際、現に業として製造又は輸入されている化学物質)を確定するため、既存化学物質名簿作成作業が行われ、49年3月と5月の2回にわたり既存化学物質として2万弱の物質が告示されたほか、同年7月には、新規化学物質に係る試験の項目等を定める命令が公布施行された。49年6月には、製造、輸入、使用等に関して規制を受ける特定化学物質として、ポリ塩化ビフェニール(PCB)が指定され、これに伴いその用途を鉄道車両の主変圧器又は主整流器の整備に使用する場合に限る等必要な規制措置が定められた。
 49年12月末現在で、新規化学物質として、製造又は輸入の届出があった化学物質の数は、169件であり、うち9件は既に特定化学物質の要件に該当しないものであることが判明している。その他の新規化学物質については、可能な限り、速やかに安全性のチェックを行うこととしており、通商産業省においてその分解性及び蓄積性の審査等を、厚生省においては人体に対する毒性、催奇形性等の審査等を、それぞれ実施している。また、環境庁においては、各種化学物質のうち、広範な使用を通じて環境中へ分布する可能性のある化学物質について、環境汚染の実態をは握することを目的とした環境調査を計画した。このため専門家による化学物質調査検討打合会を設け、調査方法等の検討を行い、49年度においては、20都道府県市の協力を得て調査を実施することとした。調査水域として大都市型、中都市型など河口の都市型別に19河川を選定し、水質、底質、魚介類等を試料として、フタル酸エステル類を中心に、DDT類、へキサクロロシクロへキサン(いわゆるBHC)、トリクロロメタン、トリクロロエチレン等の塩素系溶剤、ポリ塩化ターフェニル、へキサクロロベンゼン、陰イオン界面活性剤など19種類33物質について調査を実施している。

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