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第5節 

1 工業立地政策

 産業公害の抜本的な解決を図るためには工業立地の適正化を図ることが必要である。
 第1に、過密・公害問題が深刻化している大都市地域について、これ以上の工業の集積を抑制するとともに公害の防止等環境の保全に十分配慮しつつ工業の地方分散を積極的に促進することが必要である。
 このため、48年度においては、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律及び近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律の厳正な運用等により大都市地域における工場の新規立地の抑制を図るとともに工業の地方分散を促進するため、工業再配置促進法に基づき移転促進地域から誘導地域への工場移転及び誘導地域における工場の新増設の促進を図った。
 また、このような工業再配置対策の実施に当たっては、誘導地域における工場の設置が公害の防止等環境の保全に十分配慮して行われるよう指導するとともに工場移転については、移転跡地が公園・緑地等都市環境の改善に資する用途に利用されるよう配意した。
 第2に、工業立地の適正化を図るうえでは、個々の工場立地の態様についても公害の防止等環境保全に万全を期する必要があり、また、特に大規模な工場が集中して立地するコンビナート等については、いわゆる重合汚染の防止を図るため、総合的な事前調査に基づく周到な公害防止対策を講ずることが必要である。
 このため、48年度においては工場立地法を制定し、工場の新増設等を行う者に対し、工場周辺の環境保全に必要な一定の準則を遵守することを義務づけるとともにコンビナート立地に関し、総合事前調査の実施及び重合汚染防止のための措置等を定め、工場環境整備対策の強化を図った。

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