2 公害研修の実施
地方公共団体の公害担当部局は、年々拡充されつつあるが、公害行政が新しい行政分野に属するため、担当職員の経験年数も比較的短かく、人材の質的向上のための担当職員の養成訓練が重要な問題となってきている。
環境庁では、環境保全行政を担当する職員の養成訓練の重要性にかんがみ、46年7月の発足以来、地方公共団体の職員を主たる対象として研修を実施しており、48年3月1日には公害研修所が環境庁附属機関として所長以下8人の組織で発足した。
公害研修所における48年度の研修実施状況をみると、地方公共団体の公害担当部局の幹部職員を対象とした地方公害行政管理者研修をはじめとして、水質保全担当者研修(2コース)、土壌汚染防止担当者研修、悪臭防止担当者研修、騒音振動防止担当者研修、大気保全担当者研修の公害研修7コースと、自然保護担当者研修、鳥獣関係特別司法警察員研修の自然保護研修2コースを実施している。
研修所施設が建設途次にあるため、研修教場、実験実習施設の制約等からまだ短期研修にとどまっており、研修履修者数も約700人となっているが、教科については必要性の高いものを中心としたカリキュラムを編成し研修内容の充実を図っている。
なお、公害苦情の処理に当たっている公害苦情相談員(48年4月1日現在、3,221人)については、公害苦情が公害紛争の前段階的な性格を有するものであり、特別の資質が要求されるので、公害等調整委員会において、48年度から都道府県の公害苦情処理に従事している職員を対象として指導者養成を目的とした研修を開始している。
また、最近では、地方公共団体においても担当職員の研修に力を注いでおり、国等が行う研修、セミナー等に積極的に参加するだけではなく、公害研究所、公害防止センター等自らの試験研究機関等を利用した研修が増加しており、管下市町村から派遣職員の形で研修生を受け入れ、平常業務に従事させながら長期間にわたり職務上の訓練を行ったり、公害防止管理者のための研修を利用して職員の質的向上を図る等研修の充実に努力している。