前のページ 次のページ

第2節 

7 新汚染物質

 PCB汚染問題に見られるように、環境に広く分布し、化学的に安定(難分解性)で、生物濃縮、食物連鎖等を通じて人体にとり込まれ、慢性的影響が懸念される化学物質による環境汚染問題に対しても調査研究活動が行われた。
 環境庁及び関係各省庁は「PCB等新汚染物質の評価並びに汚染防止に関する総合研究」によりPCBについての研究を行い、あわせてこうした化学物質に対する研究手法の開発に努めた。この総合研究においては、まずPCBの催奇形性、発ガン性等の慢性影響、胎盤、母乳を通しての母子間の移行蓄積、体内蓄積の分布に関する調査研究及び血中濃度と体内蓄積の相関に関する研究が行われた。次に汚染物質の汚染除去技術開発の一環として、有機化成品の生物分解性に関する研究及び粘度の高い粒子状物質の捕集装置の開発研究に着手した。
 また、化学物質の生体に対する影響の評価手法の確立のための基礎的研究として科学技術庁を中心に「化学物質及び重金属の安全性評価手法に関する総合研究」が行われた。
 一方、化学物質による環境汚染の未然防止に関する法制度の確立に並行して、通商産業省において既存化学物質の調査研究が行われたほか、厚生省においても、特定の化学物質の毒性等について調査研究が行われた。

前のページ 次のページ