5 公害保健に関する各種調査等
(1) 健康被害診断基準の設定
健康被害発生時における迅速、的確な処理対策の推進に資するため、各種環境汚染物質の健康被害について試験調査し、その診断方法及び診断基準を設定することが必要であり、このため48年度はクロムについて試験調査を行った。
(2) 複合大気汚染健康影響調査
ばい煙等による環境汚染の人体影響を疫学的に調査し、汚染の様態と人体影響との関連性のは握、汚染の様態に即応した地域的健康管理体制の確立並びに今後予測される汚染物質による影響の資料収集等の公害防止行政を推進するための資料を得るため、千葉県、大阪府及び福岡県からそれぞれ2地区計6地区を選び、質問調査、医学的調査、環境調査を行った。
(3) 有害物質健康調査
鉛、銅、カドミウム、マンガン、亜鉛等の環境汚染物質による汚染の態様と健康影響との関連を明らかにし、金属等の自然的な常在値をは握し、汚染物質による健康被害の事前予測を確立するために必要な基礎資料を得るため、48年度は茨城県、大阪府、兵庫県に委託して調査を行った。
(4) 有害物質環境汚染(生物汚染)調査
水銀やPCB等環境汚染が大きな社会問題となった物質や将来汚染が問題となることが予想される物質、例えばフタル酸エステル等の物質について、環境汚染の態様をは握して、各種有害物質による人体被害を未然に防止するために、自然環境中の生物を指標として、汚染の進行、広がり等を明らかにする必要がある。このため、従来から水銀、カドミウム等の有害物質について、生物への蓄積状況を調査し、その汚染状況をは握してきた。48年度は次のようにPCB、水銀及びフタル酸エステルについて生物を指標とした環境調査を行った。
PCB調査地域 22地域
水銀調査地域 6地域
フタル酸エステル調査地域 4地域
計 32地域
(5) 国際協力(OECD)による野生生物中の有機塩素化合物等調査
本調査は、OECD環境委員会有害物資セクターグループによる「野生生物のサンプリング及び分析計画」を実施するものであり、47年から3か年計画でOECD加盟国中13か国が行っている。本調査は国際的な情報交換を行うとともに我が国の野生生物中の有機塩素化合物や水銀、カドミウム、鉛等有害物質の複合汚染状況もは握できるものであり、具体的には、6地域について淡・海水魚、野鳥、水質、底質を採取して調査を行っている。