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第1節 

2 大気汚染系疾病

(1) 指定疾病
 経済の著しい進展に伴うエネルギー消費量の急激な増大、都市化等により大気汚染もいおう酸化物をはじめ窒素酸化物、オキシダントあるいは種々の重金属類を含む浮遊粉じんとその汚染の形態も多様化し、いわゆる複合大気汚染といわれるようになった。これらの大気汚染により多発されると考えられている疾患には慢性気管支炎等閉塞性呼吸器疾患と総称されているものがあり、救済法で指定疾病とされている。
(2) 患者数
 救済法による大気汚染系疾病の認定患者は年々継続的に増え続けている。この急激な増加は患者が順次認定の申請を行ってきていることや、新たな地域を指定したため、その地域の認定患者が加わったことによるものである。地域別の増加の傾向をみると第5-1-1図のように大阪、尼崎では患者が急激に増加し、大阪では地域人口の2.8%となっている。しかし、他の地域では患者は徐々に増加し、大阪等とは異なった傾向をとっている。


(3) 年齢別分布
 認定患者は若年層と老人層に多く、年齢階層別分布は第5-1-2表のように9歳以下の児童がほぼ半数を占め、60歳以上を合わせると全体の約70%はこれらの年齢階層で占めている。


(4) 疾病別割合
 疾病別の割合(48年9月末現在)では慢性気管支炎22.2%、気管支ぜん息38.1%、ぜん息性気管支炎38.4%、肺気しゅ1.3%となっている。
(5) その他
 大気汚染系患者の死亡者は制度開始から48年11月末までに296人となっており、また、治ゆして公害医療手帳を返還した者は92人である。認定患者の受診状態を認定患者(健康保険加入の本人を除く。)のレセプトによる調査の結果からみると、47年12月から48年5月までの各月の認定患者数に対するレセプト数の比率の平均では、四日市81.9%、川崎68.2%尼崎60.3%、大阪51.2%等となっている。

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