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第4節 

1 悪臭の現況

(1) 概況
 悪臭は人の感覚に直接知覚されるものであるだけに、古くから多くの地域で社会問題となってきた。特に近年において悪臭公害が全国的に住民の生活環境を損なうものとして問題にされてきたのは、各種企業の大規模化に伴う汚染の広域化、都市の近郊、郊外へのスプロール化に伴う住居の悪臭発生事業場への接近、更に住民の快適な生活環境保全への関心の高まり等を反映したものとみられる。
 地方公共団体が受理した悪臭に関する苦情は毎年増加の一途をたどっており、47年度における受理件数は21,576件(対前年比22%増)に及び、公害に関する苦情のうち約25%を占めている(第4-4-1表)。


(2) 悪臭の実態
 悪臭の原因となる物質については、業種、事業の規模、作業方式等により種々異なるが、代表的な悪臭原因物質とこれを排出する主要な発生源事業場は第4-4-2表のとおりである。また、悪臭公害の苦情は養鶏養豚業やへい獣処理場等の事業場に多い傾向が見られる。悪臭原因物質の排出形態及びその排出により影響を受ける地域の範囲は多種多様であり、例えば、クラフトパルプ製造工場から排出される硫化水素、メチルメルカプタン等の大部分は煙突からのものであり、1〜2キロメートルも離れた地点でも悪臭が感じられるのに対し、畜産業等については、畜舎からの悪臭原因物質の排出が主であり、隣接地帯が最も悪臭が強いといわれている。

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