1 振動の現況
特に公害として問題にされる振動は、主に、工場、建設作業、交通機関等の振動発生源から地盤を伝搬して家屋等を振動させるものであり、その周波数は、およそ1〜90Hzとされている。振動の住民に及ぼす影響としては、騒音と同様に生理的障害よりは、むしろ心理的、感覚的なものであり、気分がいらいらする、不快に感ずる、寝つきにくい、目が覚める、思考や作業の妨げになる等の生活妨害が中心となっているが、振動発生源と近接している場合には、家具、調度品等の損傷、耐久性の劣化や壁、タイルのひび割れ等の物質被害のみられるものもある。また、地盤を伝搬する振動とは別に、工業溶炉の燃焼等が発生源となる低周波の空気振動により、ガラス窓や障子が振動する例もみられる。振動公害の苦情発生件数については、第4-2-1表に示されるように、都市のスプロール化、機械・施設の大型化、とりわけ住宅と町工場の混在状態の増加により近年増大の傾向にある。また、苦情件数を振動発生源についてみると、工場振動、建設振動、交通振動の順となっている(第4-2-2表参照)。なお、これらの発生源における主要な施設、作業等について振動の発生状況をみると第4-2-3表のとおりである。