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第5節 

3 瀬戸内海の汚濁防止対策

 瀬戸内海の水質汚濁防止対策については、環境基準設定の促進、排水規制の強化、下水道整備及び廃油処理施設整備の促進等を鋭意進めているところであるが、その概要は次のとおりである。
(1) 環境基準の水域類型の指定及び上乗せ排水基準の設定
 環境基準の水域類型の既指定水域は50水域である。
 また、上乗せ排水基準については大阪府、兵庫県、広島県の3府県ですべての公共用水域についてこれを設定しており、岡山県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、和歌山県、大分県及び福岡県についてはその一部の公共用水域について設定している。
(2) 公害防止計画策定の推進
 公害対策を進めるために、公害防止計画を策定することとしているが、既に計画の承認がなされた地域は、水島(第1次)、大阪(第2次)、兵庫県東部、北九州、大分(第3次)、播磨南部、大竹、岩国(第4次)の各地域であり、目下、計画策定中の地域は、神戸、備後、周南及び東予(第5次)の各地域である。現在、基礎調査中の地域は、和歌山、岡山・備前、広島・呉、下関・宇部及び香川の各地域である。
(3) 下水道整備の促進
 下水道整備五箇年計画に基づき、48年度には、瀬戸内海関係11府県における公共下水道、流域下水道及び特定公共下水道について総事業費約1,470億円(全国総事業費約5,200億円の約28%)を投資し、下水道の重点的な整備を図ってきた。
(4) し尿の海洋投棄の制限
 し尿の衛生的処理を図るため、従来から施設整備に努めてきた。瀬戸内海におけるし尿投棄量は、40年度約4,000kl/日であったが、45年度末約3,000kl/日と減少している。更に、48年4月1日からは瀬戸内海におけるし尿投棄は全面的に禁止された。
(5) 廃油処理施設の整備
 船舶廃油には、油性バラスト水、タンク洗浄水、ビルジ等があるが、瀬戸内海における廃油処理施設については、42年度以降現在まで20港、34か所が整備されており、このうち48年度は5港7か所が整備された。
(6) 海洋汚染の監視取締り
 瀬戸内海は海洋汚染の多発する海域であるため、海上保安庁では監視重点海域として、巡視船艇及び航空機を配備し、緊密な連携監視体制をとっている。
 なお、海域別汚染発生件数は第3-4-1表のとおりである。
(7) 水質汚濁メカニズムの調査研究
 地形の変化に富む瀬戸内海は潮流が複雑なパターンを示し汚濁も複雑である。そこで通商産業省は47年度959百万円(46年度は389百万円)で、水質汚濁メカニズム解明のため瀬戸内海大型水理模型の建設を行い、48年度は413百万円で機器の補充等を行った。また、47年度76百万円で瀬戸内海水質汚濁総合調査を、更に、48年度42百万円で補足調査を行い広域的な汚濁の実態は握の基礎資料とした。
(8) 赤潮防除技術の開発
 環境庁、水産庁、海上保安庁の協力のもとに48年度において23百万円で、赤潮発生の予察、防除技術の開発を目指し、水質汚濁と赤潮発生との因果関係の研究を行った。
(9) その他
 以上のほかに、瀬戸内海に流入する大阪地区等の河川の河床の汚でいのしゅんせつ作業、兵庫運河、武庫川等において水質監視測定施設の整備事業を行った。

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