1 環境基準の設定
水質保全行政の目標として、公害対策基本法により、公共用水域の水質について、達成し、維持することが望ましい基準を定めることとされている。環境基準は人の健康を保護するうえで達成し、維持すべき基準と生活環境を保全する上で達成し、維持すべき基準の二つからなっている。前者については全公共用水域について一律に定められており、後者については河川、湖沼、海域ごとに利水目的に応じた水域類型を設けてそれぞれについて水素イオン濃度等の項目に関する基準値を定め、各公共用水域について水域類型を指定することにより当該公共用水域の環境基準が具体的に示されることになっている。
人の健康の保護に関する環境基準については、45年4月21日の閣議決定により、シアン、アルキル水銀、有機リン、カドミウム、鉛、クロム(6価)、砒素及び総水銀の8項目について定められている。
各公共用水域に対する水域類型の指定は、原則として当該公共用水域が属する都道府県の知事が行うこととされているが、47の県際水域については国が行うこととされている。これらの県際水域に対する生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定は、すべて終了しており、また、都道府県知事が水域類型の指定を行うこととされている公共用水域のうち主要水域については、206水域について水域類型の指定を完了した。