1 水道原水の汚濁
水道原水を取水している河川、湖沼等の公共用水域の水質汚濁は、全国的に拡がっており、これによる被害も年々増加している。また、その原因や被害の態様も多様化の様相を呈している。
水道の被害は、多くの場合汚濁物質の一時的な増加による直接的被害が主なものであり、その原因としては、鉱工業排水による被害が依然として多く、次いで土木工事、汚物汚水、採砂等によるものが多い。その他の原因としては、水質の富栄養化によるプランクトンや藻類の異常発生が主たるものである。
水道原水が汚濁された場合は、ろ過池の閉塞、浄化処理に要する薬品の量や種類の増加等浄化技術上の問題から、沈殿池やろ過池の構造あるいは取水地点の位置や構造を変える等の施設変更に至るものがある。
また、有害物質や異臭味物質、着色物質等による突発的な汚濁による被害では、取水の制限、停止にとどまらず、給水停止を行ったり、更にはやむを得ず異臭味水等を給水せざるを得ない場合がある等、水道を利用する住民が直接的に大きな影響を受けることがある。
特に水源の富栄養化による藻類等の異常発生による異臭味水の問題は慢性化しており、直接原因を除去することが極めて難しく、かつ毎年長期間続くので浄化処理技術の高度化あるいは施設の改善等により対処していくしかなく、当該水道事業体にとって管理運営上大きな負担となっている。