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第1節 

1 最近における水質汚濁の概況

 最近における我が国の水質汚濁の状況は、第3-1-1図第3-1-2図及び参考資料1に示すとおりであり、44年から48年までの各年の95か所における平均水質の推移をみると、そのうち、水質が悪化する傾向にある箇所は26か所であり、水質が改善される傾向若しくは横ばいの状態にある箇所が69か所となっており、全国的にみれば、最近の排水規制の強化等を反映し、水質汚濁の進行は明らかに鈍化し、一部の水域では改善の兆しがみえはじめている。
 しかしながら、大都市内及びその近郊河川は、依然として極めて汚濁が著しい。また、湖沼、内湾等にあっては、水質汚濁が進んでいる箇所もみられる。
 また、最近における公共用水域のカドミウム等の有害物質による汚染状況は、第3-1-1表のとおりである。これによると、有害物質の濃度が環境基準を超える割合は、45年度1.4%、46年度0.6%、47年度0.3%と年々大幅に減少してきており、改善の傾向が著しい。特に、総水銀、6価クロムについては、環境基準を超える割合は47年度は45年度の10分の1以下となっており、この間の改善は顕著である。
 一方、47年度における生活環境に係る環境基準の達成状況監視調査の結果は、第3-1-2表のとおりであるが、環境基準値を超える検体の割合は、河川23.8%、湖沼45.3%、海域15.8%となっている。
 生活環境に係る環境基準は、各共用水域ごとに定められており、その達成目標年次は必ずしも直ちに達成するものばかりではなく、また、この割合は河川の流量の変動による水質変動を考慮せず、単に環境基準値を上回る割合を示したものではあるが、これは環境基準を達成するために、更に水質改善対策を進めなければならない水域も多いことを示している。
 更に、地域的にみると首都圏、中部圏、近畿圏に所在する都市、地方の中心的都市等人口や産業の集積の大きい都市内の河川並びにこれらの地域の河川及び海域の汚濁が著しい。
 また、汚濁の態様については、有機汚濁が大部分であるが、原子力発電所、火力発電所からの温排水、ダムの築造に伴う濁水の長期化あるいは火山地帯における河川又は湖沼の自然的要因による酸性化等の問題も生じている。
 更に、過去における水銀やPCB(ポリ塩化ビフェニール)等の排水により水底の土がかなり高濃度に汚染されている場所もあることが明らかになっている。

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