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第1節 地盤沈下対策

 工業用水法および建築物用地下水の採取の規制に関する法律に基づく地下水採取規制については、48年度も首都圏南部地域において47年度に引き続き指定地域の拡大を行なう一方、最近急激に沈下が進行し、沈下地域の拡大が見られる名古屋市において、新たな地域の指定、指定地域の拡大および許可基準の強化を行なう予定である。これらの規制の強化のため、47年度は名古屋市の一部において地下水の採取量や揚水設備の型式等に関する調査が行なわれたが、48年度は、同様の調査が濃尾平野地域および首都圏南部地域の一部において広域的に実施される予定である。
 一方、工業用水法に基づく地下水採取規制措置として、46年5月には東京都および埼玉県の指定地域の許可基準の強化が、47年5月には東京都および千葉県の指定地域の拡大と千葉県の既指定地域の許可基準の強化が行なわれ、これらの地域での地下水採取はほぼ全面的に規制されることとなつたが、これらの措置に伴って必要となった代替水源の整備を促進するため、47年度に引き続き、埼玉中央第一(埼玉県)、城北地区(東京都)、江東地区(東京都)、東葛地区(千葉県)の各工業用水道事業について補助金を交付することとしている。
 このほか、47年度に実施された埼玉、千葉、東京、大阪、兵庫、新潟の各都県における河川改修、高潮対策および海岸保全施設整備等の各事業ならびに新潟地域特殊排水事業は、48年度も引き続き国庫補助事業として実施される。
 以上のように、地盤沈下の防止および地盤沈下による被害の復旧や防災のために諸種の施策が講ぜられつつあるが、地盤沈下の未然防止を徹底するとともに、現在激しい地盤沈下に悩みつつある地域に対し、地域の実情に即した効果的な施策を実行するためには、広範な面からの掘り下げた検討が必要である。
 このため、47年7月14日に開催された中央公害対策審議会第3回地盤沈下部会において、環境庁長官から「1.地盤沈下激甚地域における応急対策はいかにあるべきか。2.地盤沈下の予防対策はいかにあるべきか。」との諮問がなされたが、同部会ではこれを受け、それぞれの問題に対応して「地盤沈下地域対策専門委員会」および「地盤沈下予防対策専門委員会」の2専門委員会を設置した。両専門委員会ともすでに審議を開始しており、48年度も引き続いて行なう予定である。

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