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第4節 環境情報システムの整備

 複雑化しつつある環境問題に効果的、かつ、科学的に対処するためには、人間環境に関する数多くの正確な情報の把握と、その円滑な流通が不可欠であるが、この要請に対する現在の体制は必らずしも充分とはいえない。環境問題は、環境の汚染や破壊といった局部的な現象の底辺にある人間活動と自然に関する幅広い事象との関連において理解されなければならないものであり、この観点に立って環境庁は既存の関連情報を体系化するとともに、今後必要とされる環境情報の整備促進に役立つ環境情報システムを検討中である。
 また現在、国連において、環境問題に関連する情報の国際的な相互流通組織を検討中であるが、これはIRS(InternationalReferral Service)と呼ばれるもので、環境問題に関連を有するあらゆる組織と、その機能に関する情報源リストを整備し、各国が環境政策を進める上で直面する必要情報の確保を容易にしようとするものである。
 本提案の実施については、国連において具体的にシステム化される予定であるが、わが国も国内的な環境情報システムの整備と合せて、これらの国際的な協力体制に積極的に参加することとしている。
 現在、検討中の環境情報システムの対象とする情報の種類およびその機能は主として次のとおりである。
? 環境問題に関する基礎的データ
 気象、水象、地形、土壌をはじめとして、動植物等自然的環境に関するデータ。
? 環境問題に関連する社会、経済情報
 人口、土地利用、生産活動、交通および社会資本に関するもので、これは主に他の情報機関に依存するものである。
? 環境影響に関するデータ
 大気汚染、水質汚濁をはじめとする公害、自然破壊等環境における諸因子の状態や、人間、生物への影響に関するデータ。
? 環境保全対策および行政に関する情報
 国、都道府県および市町村の環境行政に関する諸法令をはじめとする対策および成果に関する情報ならびに紛争、訴訟等の情報、また諸外国における環境対策等。
 本システムは以上の情報を対象とするが、この整備にあたっては、他省庁、地方自治体および日本科学技術情報センター、国際医学情報センター等の既存情報機関の保有する情報と緊密な連けいを保ちつつ、その整備を進めることとしている。

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