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第3節 その他の環境保全関係公共事業

(1) 河川等の浄化対策
 48年度は、事業費3,002百万円(直轄1,240百万円、補助1,762百万円)で、直轄事業として中川、荒田川(木曽川)、戸牧川(円山川)、大谿川、多摩川、鶴見川等の浄化事業を継続施行し、新たに赤川(北上川)、馬渕川、綾瀬川、桜川(那珂川)、淀川水質保全水路に着手する。また、補助事業としては田川(宇都宮)、中川(東京)、諏訪湖(諏訪)、堀川(名古屋)、神崎川(大阪)、和歌川(和歌山)等25地区を継続施行し、坂川(千葉)、猿猴川(広島)、大牟田川(大牟田)等12地区に着手する。
(2) 河川の流況改善
 河川の流況改善については、河川総合開発事業として継続事業実施中の126事業とともに新たに22事業を加え、合計148事業を実施し積極的に流況の改善を図ることにより、一般の利水者の取水の安定ならびに水質の保全に努める予定である。
(3) 港湾環境保全対策
ア 港湾公害防止対策事業
 48年度は事業費3,753百万円(予定)をもって田子の浦、北九州(洞海湾)、水島、東京港等6港(継続)及び大牟田、横浜、大阪港等6港(新規)の合計12港の汚泥しゅんせつを行なう予定である。
イ 漁港公害防止対策事業
 48年度は事業費127百万円(予定)をもって岡山県呼松漁港他2港の汚泥しゅんせつを行なう予定である。
ウ 廃油処理施設の整備
 昭和48年度は2億円(補助率1/2)の事業費で第6-3-1表に示すとおり7港7か所(うち漁港2カ所)の廃油処理施設の整備を行なう予定である。
エ 港湾環境整備事業
(ア) 廃棄物処理施設の整備
 海洋汚染防止法の施行に伴い、従来、船舶から海洋へ投棄されていた木皮、ダンネージ、荷粉等船舶において発生する廃棄物で港湾で陸揚げされるものが増大した。
 さらに、港湾内には持主不明の沈廃船が不法投棄され、環境保全上からも早急な撤去が望まれている。
 これら廃棄物を処理するため、48年度においては、埋立護岸、焼却、破砕施設等の整備事業として約110億円の事業費を予定しており、これらの施設整備については、新たに事業費の原則1/4を国が補助することとしている。
(イ) 緑地の整備
 わが国の都市の大部分は臨海部に立地し、港湾は都市経済の存立基盤として極めて重要な役割に果しているが、港湾整備に当たっては、従来、けい留施設等の整備に重点が置かれ、緑地や景観の整備という観点からの配慮がなされにくかったため、わが国の港湾の環境はうるおいに欠けるものが多かった。しかし、国民生活向上と意識の変化にともない、国民のレジャーの場、うるおいの場としての港湾によせる期待が増大しつつある。
 このため、昭和48年度から新たに港湾について緑地の造成事業を実施することとしている。


(4) 海岸環境の保全
 海岸線は貴重な空間であるので、海岸保全事業の推進とあいまって、潤いある豊かな海岸環境を創出し、あわせて海岸の利用の増進を図るため、48年度より海岸環境整備事業を実施し、護岸堤階段式護岸等の施設の整備海浜の造成による砂浜の拡大等を行なうこととしている。
 なお、48年度は運輸省において8か所、国費187百万円(事業費561百万円)、建設省において10個所、国費233百万円(事業費699百万円)の事業の実施を予定している。
(5) 緩衝緑地
 都市の環境を保全するため、工場等公害発生源地域と一般市街地の間に緩衝地帯として、公害の防除、災害の防止に資する緩衝緑地を設ける必要がある。このため、建設省は、公害防止に関する国の助成策の一環として、都市計画上から要請される緩衝緑地の整備に対し、昭和43年度より国庫補助を行ない事業の推進を図っている。
 この事業は公害防止事業団が都市計画法第59条第4項の承認を受けて緩衝緑地造成事業として施工し、完成後は地方公共団体が譲り受け、都市公園として設置、管理されるものである。47年度までに、市原緑地(千葉県市原市)、中央緑地、霞ヶ浦緑地(三重県四日市市)、周南緑地(山口県徳山市)の事業を完了したほか、48年度には、47年度当初予算に対して約2.8倍の国費22億円をもって、宮城県多賀城市の多賀城緑地ほか7地区について、事業を実施する予定である。

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