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第1節 下水道整備事業

(1) 下水道整備5箇年計画
 下水道整備5箇年計画(第3次計画)は、下水道整備緊急措置法に基づき、46年8月27日閣議決定されたものである。
 本計画は、46年度を初年度としてその後5か年間に行なうべき事業の実施の目標および事業の量を示すものであり、第6-1-1表?に示すとおり、総投資額を2兆6千億円とするものである。本計画による下水道の整備見込みは、同表?のとおりである。


(2) 下水道事業
 48年度は、第三次下水道整備五箇年計画の第3年次であるが、下水道整備の緊急性にかんがみ、計画を繰り上げて実施することとし、とくに公害対策基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準の達成のため緊急に整備すべき地域、公害防止計画策定地域等の下水道事業を強力に推進する(第6-1-2表第6-1-3表)。
 このうち、48年度の公害防止計画地域の投資額は約3,450億円であり、全投資額の約64%を占めている。「公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」に基づく国の補助のかさ上げ額は、約35億円の予定であり、公害防止計画地域における下水道の整備の促進を図ることとしている。
 なお、下水道事業調査としては、下水の高度処理と再利用に関する調査を重点的に行なうほか、下水の処理施設の合理的設計法に関する調査、下水汚泥の処理、処分に関する調査等を行なうこととしている。


(3) 流域別下水道整備総合計画
 水質環境基準が定められた流域または定められる予定の流域等について、流域別下水道整備総合計画を定めるための調査(国庫補助率1/3)を47年度に引き続き実施することとし、継続分として大阪湾(大阪府、兵庫県、奈良県)を、新規に利根川、北上川など19流域を予定している。
(4) 技術の開発
 近年、公共用水域の水質環境の保全のため高度の下水処理技術が要請されており、とくに二次処理の効率化技術の確立のほか、三次処理技術および汚泥処理技術の開発と実用化の促進が望まれている。48年度は、多摩川流域下水道南多摩下水処理場において三次処理の本格的実用化試験を行なう。その規模は処理人口で55,000人、処理能力で17,600m
3
/日である。
(5) 下水道事業センター
 47年度に発足した下水道事業センターは、48年度は、関西支所の設置等の組織の拡充を図り、地方公共団体の下水道事業の調査、設計、建設の受託、下水道技術の開発と実用化ならびに研修等の業務を本格化する。
(6) 生活保護世帯に対する水洗便所設置費補助
 下水道の処理区域内の生活保護世帯のうち家屋を所有するものに対する水洗化の費用補助を行なう市町村に対して、費用の一部を補助するもので、処理区域内の水洗化の促進を図り、下水道投資の効果を最大限に発揮させようとするものである。
(7) その他
 国際協力についても、47年度に引き続き第3回日米下水処理技術委員会が日本において開催される予定であり、また、開発途上国の下水道関係者に対する「水質汚濁、下水道集団研修コース」が海外技術協力事業団の研修計画として48年度より新設されることとなっている。

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