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第3節 農水産関係公害防止事業の助成

(1) 水質汚濁対策
ア 河川等公共用水域の水質汚濁の進行によつて農業用水路の水質が悪化している状況に対処するため、都道府県に助成し農業用水の水質調査を引き続き実施する。
イ 都市汚水等不特定多数からの汚水による被害地区の水質汚濁を防止するため、水質障害対策事業を引き続き実施する。
(2) 水産関係公害対策
ア 突発的に発生する公害による漁業被害の原因究明のための初動調査体制を確立するため、47年度に引き続き関係漁業者に対する指導講習会を全国20カ所で開催するとともに、都道府県を助成し、資料採取に必要な器具、薬品および被害の防止と軽減化のための油処理剤等の整備を行なう。
イ 公害により生産性の低下している漁場について、生産力の回復を図るため、都道府県が行なうしゅんせつ、耕うん等の事業に対し引き続き助成を行なう。
ウ 漁業上重要な沿岸水産資源開発区域について、水質汚濁等による環境悪化の防止を図るため、都道府県が実施する漁場環境調査に対し助成を行なう。
エ PCBによる汚染漁場について、その汚染魚介類等の分布状況を把握するため、関係都道府県に委託してPCBによる汚染漁場の定期点検調査を実施する。
オ 赤潮被害防止のため、都道府県または民間団体が実施する赤潮情報の交換、赤潮被害防止施設の設置および赤潮防除技術の事業化試験に対して助成を行なう。
(3) 畜産公害対策
ア 家畜ふん尿の適切な処理利用を推進し、畜産経営の環境保全に資するため、畜産経営の濃密巡回指導等を行なう畜産経営環境保全総合対策指導事業を実施するとともに、新たに環境汚染等生産阻害要因の除去のための指導に必要な検査用機械器具の設置(15カ所)につき助成する。
イ 畜産経営に起因する環境汚染問題の解消と合理的な家畜管理技術の開発普及を推進するため、新たに高能率養豚施設設置事業(7カ所)を実施して、ふん尿処理技術体系の確立と普及展示を図るとともに、畜舎から発生する悪臭の防止に資するため、悪臭防止資材の利用によるふん尿の混合焼却と迅速な乾燥処理とを行なう悪臭防止対策推進事業(17カ所)を実施するほか、引き続き実験的に家畜汚水処理施設の設置を行なう事業(45カ所)につき助成する。
ウ 家畜経営に起因する環境汚染の防止を図るとともに、畜産経営の合理化と飼養規模の拡大に資するため、市街地およびその近郊の畜産経営を適地に集団移転させる畜産団地造成事業(新規40カ所、継続29カ所)を実施する。
エ 家畜死体等を衛生的に処理加工して資源の再活用を図るための施設の設置(5カ所)につき助成する。
オ 畜産経営に起因する環境汚染の防止と良好な環境保全を図るため、新たに畜産主産地域において、草地、遮断林等の造成、畜舎の移転、ふん尿処理施設等の整備等を総合的に実施する家畜経営環境整備事業(調査40カ所、うち事業着工20カ所)を実施する。
カ 環境汚染を防止し、あわせて生産性の高い畜産経営の育成に資するため、畜産経営の移転および環境汚染防止施設設置に要する資金を農林漁業金融公庫から融資(貸付枠29億円)するほか、家畜ふん尿処理新技術導入に要する資金を都道府県(農業改良資金特別会計)から融資する。
(4) 農林関連企業公害対策
 公害防止対策の円滑な推進を図るため、「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」に基づき、公害防止管理者等の資格認定講習会を実施するとともに、水質汚濁防止技術および悪臭防止技術システムの確立を図るほか、新たに食品産業に対し工場排出物の分析機関に関する情報の提供、公害防止技術の指導等を行なう。

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