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第3節 

1 担当職員の現況

 工業化、都市化に伴う環境汚染の発現形態は、その発生機序においてきわめて複雑多様であるが、同時にかなり地域的な特色を有している。このような特徴に対応して、公害行政については、監視、測定、規制、対策立案などの施行権限、具体的実施業務が大幅に地方公共団体に委譲されており、行政の効果的な推進の成果については、第一線の業務を担当する地方公共団体の職員の資質如何にかかっているといえよう。
 環境庁が47年に実施した調査によって地方公共団体の担当職員の現状をみると、地方公共団体がいわゆる公害担当部局として把握している部局に所属する職員の数は概数で、都道府県で約4,600名、9政令市で約1,000名、市町村で約3,700名となっている(なお、この他に自然保護関係の業務に従事する職員の数が約800名となっている。)。これは、公害防止センター、公害研究所等の試験研究機関に所属する職員を含めたものであるが、何らかの形で公害行政にかかわりを有するいわゆる公害関連部局の職員数を含めれば、かなり上記の人数を上回わることになることが予想される(第4-3-1表)。
 また、この調査にもとづいて公害担当職員について特徴的なことをあげると、技術系職員のウエイトが高いこと、経験年数が比較的短いことがあげられる。すなわち、監視、測定、分析、検査等の業務が中心となる公害行政では、技術職員対事務職員の割合がほぼ7対3の構成となっており、また、公害行政が新しい行政分野に属することを反映して、公害担当部局における経験年数が3年未満の職員が全体のほぼ7割を占めているという状況にある。
 深刻化する公害問題に対処するため、地方公共団体では、逐年、公害担当部局の機構の拡充、人員の増加を図ってきているが、今後の公害行政を推進するに当って担当職員の養成訓練は重要な課題であり、とくに、技術系職員の養成訓練が急務であるといえよう。

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