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第5節 

1 教育関係の施策

(1) 公害地域における児童生徒の健康対策
 大気汚染等により教育環境が悪化し、児童生徒の学習能率や健康が阻害されている現状にかんがみ、昭和46年度から、これらの大気汚染地域の公立の小学校および中学校の児童生徒を対象として、大気汚染等に起因すると思われる疾病の早期発見と適切な事後措置の徹底を図るため、内科、眼下、耳鼻咽喉科の検診を内容とした「特別健康診断」を市町村が実施する場合その必要な経費の一部を補助している。また、学習能率の向上と積極的な心身の健康増進を図るため、一定期間恵まれた自然環境のなかに児童生徒を移動させ、教育課程に基づく通常の教育活動を行なう「健康増進特別事業(移動教室)」を市町村が実施する場合にも同様の措置を講じている。
 なお、47年度の予算額は132百万円であり、補助対象学校数(実績)は次のとおりである。
 ? 特別健康診断
   小学校  704校
   中学校  250校
   計    954校
 ? 健康増進特別事業
   小学校  559校
   中学校  336校
   計    895校
(2) 公立学校に対する助成
 43年度から騒音、大気汚染等の公害により、教育環境上著しく不適当な公立学校建物について、公害防止事業として国庫補助を実施(補助率1/3、公害防止計画地域の小中学校(校舎2/3))しており、47年度予算額は724百万円であり、国庫補助した学校数は第8-5-1表のとおりである。
 以上のほか、基地周辺(飛行場、射爆場)の学校および公共用飛行場周辺の学校についても、それぞれ騒音防止工事に対する国庫補助を実施している。
 また、私立学校において公害対策として行なう防音工事その他、学校施設の整備事業に対し、日本私学振興財団からの貸付けを46年度から新規に行ない、48百万円の融資を行なった。
 なお、47年度は400百万円を計上した。


(3) その他
 公害に関する教育については、その重要性にかんがみ、従来から学校教育においても社会科等を中心として指導が行なわれてきたが、新たに改訂になった学習指導要領(小学校については46年度、中学校については47年度、高等学校については48年度から実施)においては、さらにその内容が改善され、人間環境の保全をめざす教育がいっそう適切に行なわれることになった。
 なお、大学においても、公害防止に資する基礎的研究を関連の学部、学科、研究所、研究施設等において実施しているが、47年度には、広島大学に内海水環境研究施設を、横浜国立大学に公害計測工学に関する講座を設けるとともに、千葉大学および東京大学生産技術研究所において環境問題に関する臨時事業を実施した。
 また、科学研究費においても、環境関係の特定研究の領域を設け、補助金を交付した。

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