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第2節 

8 その他の環境保全に関する主な調査研究

(1) 公害による健康影響の調査研究
 大気汚染、水質汚濁等の人体に及ぼす影響等について、科学的な調査研究を推進するため、環境庁においては地方公共団体、試験研究機関、大学その他に委託または補助し「イタイイタイ病およびカドミウム中毒症の鑑別診断に関する研究」「水俣病に関する疫学的調査」「休廃止鉱山周辺住民健康調査」「大気汚染による健康被害の臨床医学的調査研究」等28課題について調査研究を進めた。
(2) 産業公害総合事前調査
 通商産業省で昭和40年以降、急速に工業化の予想される新産都市、工業整備特別地域等の大規模な工業地帯ならびに新規埋立予定海域および工業地帯内の重要河川を中心として、これら地域において発生のおそれのある産業公害を未然に防止するため、関係地方公共団体の協力を得て産業公害総合事前調査を実施してきた。
 本調査は風向、風速、乱れ等の気象調査、流向流速等の海況調査を基礎に風洞模型実験、水理模型実験および電子計算機を活用した理論拡散計算等の科学的汚染予測手法を用いて、個別工場による汚染および工場群による地域全体の重合汚染を予測し、目標とすべき環境条件を考慮しつつ、地域全体の環境汚染の改善を図ることを目的としている。
 47年度に実施した地域は、次のとおりである。
 大気関係…北海道東苫小牧、青森県むつ小川原、秋田県秋田、富山県高岡、大分県大分、福岡県大牟田
 水質関係…北海道東苫小牧、山形県酒田北港、山形県最上川、愛媛県長浜、沖縄県金武湾
(3) その他の調査研究
 通商産業省においては「工業標準化調査研究委託費」により47年度においては排ガス中の亜硫酸ガス、大気中の炭化水素、塩素について測定機器の性能および測定方法の調査研究を行なうとともに前年度実施した大気中の亜硫酸ガス、窒素酸化物、一酸化炭素、粉じんについての調査研究の成果をもとにJIS規格による標準化の準備を進めた。
(4) 調査研究の助成等
 通商産業省においては重要技術研究開発費補助金の公害対策技術枠により、現に問題となっている公害についての対策を講ずるうえで緊急な開発が要請されている公害防止技術開発について高率(補助率3/4)の補助金を交付して民間における公害防止技術の開発を促進した。
 昭和47年度においては、焼燃炉ガス中のNOx処理技術の開発、染色排液処理技術の開発、パルプ排水処理技術の開発、水銀排水処理技術の開発等11件について計3億円の補助金を交付した。
 また47年度から、重要技術研究開発費補助金が一項目として新たにクローズドプロセス技術開発枠(補助率2/3)を設け、無公害産業社会を実現するため現在の生産工程を全面的に変換し、公害源となる物質を全く外部に排出しない生産工程(クローズドプロセス)の技術開発の助成に着手した。47年度においてはガス化脱硫プロセス、非水銀カ性ソーダ製造プロセス、無公害紙パルプ製造プロセスの3件について、計3億7千万の補助金を交付した。
 その他中小企業庁では公害技術開発研究費補助金により公設の試験研究機関に対して助成を行ない中小企業向け技術の開発についてその推進を図った。
 農林省では都道府県農林業関係試験所研究機関等の行なう農林業関係の環境保全に関する研究に対して助成を行ない研究の促進を図った。
 建設省においては、建設技術研究補助金により、水質自動監視装置の開発ならびに標準化、下水二次処理水のろ過効果、鉄筋コンクリート構造物の無公害破壊工法の開発等の環境保全関係研究について助成した。

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