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第7節 

3 公害による健康影響の調査研究

 環境庁においては、大気汚染、水質汚濁等の人体におよぼす影響等について科学的な調査研究を推進するため、地方公共団体、試験研究機関、大学その他に委託または補助し、「イタイイタイ病およびカドミウム中毒症の鑑別診断に関する研究」、「いわゆる不全型水俣病の鑑別診断に関する研究」、「人肺の病理組織学的研究」、「水俣病に関する疫学的調査」、「休廃止鉱山周辺住民健康調査」、「PCB等汚染物質の生体内動行とその分析方法に関する研究」、「大気汚染による重篤健康被害の臨床医学的調査研究」等28課題について調査研究を進めた。
 「イタイイタイ病およびカドミウム中毒症の鑑別診断研究」においては、カドミウム環境汚染要観察地域の住民の健康調査を行ない、概ねカドミウム中毒による障害(腎障害、イ病の骨所見)はないとの結論を得ている。
 水俣病については、熊本大学を中心として各種の研究を行ない、あわせて関係県において住民健康調査を行なっており、現在、一次検診、二次検診を終了し、精密検診の一部を終了した。
 休廃止鉱山に関連しては、46年11月に宮崎県土呂久地区住民の砒素による健康影響が問題となり宮崎県をはじめとして7県において休廃止鉱山周辺住民の健康調査を行なっており、その結果、宮崎県土呂久地域については7人の健康被害者が確認された。
 大気汚染と健康影響については、前年に引きつづき呼吸器系疾患等に関し、主として健康影響を中心にした研究を続けるとともに、石神井南中学校等の例のように、大気汚染による重篤な健康被害が多数報告され大きな社会問題となっているので、これらの急性重篤健康被害の原因をすみやかに究明し、あわせて適切な予防対策を確立するため大気中の有害物質と健康被害の実態を公害検診車を用いて臨床医学的に調査研究することとし、このために公害検診車を製作した。
 その他、PCB等難分解物質については、未だ未解明の点が多いため分析法等基礎的な問題を研究し、あわせて環境汚染の実態を生物とくに魚介類を指標として調査するとともにその人体影響の究明に関する研究を実施した。
 なお、47年度における公害保健関係の調査研究予算は次のとおりである。
 事項                予算額
 公害防止等調査研究委託費     47,000千円
 環境保全総合調査研究促進調整費  26,660
 計                73,660

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