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第7節 

1 PCB汚染の現況

(1) 汚染問題発生の経緯
 1966年以降スウェーデン各地の魚類やワシをはじめ、世界各地の魚類や鳥類の体内からPCBが検出され、PCBが地球全体を汚染していることが明らかになってきた。
 わが国でも1968年夏から翌春にかけて発生したカネミ油症事件以来、PCBの有害性や汚染の実態についての調査研究が行なわれるなど、国民の大きな関心事になっている。
(2) PCBの特性および生産実績
 PCBとはポリ塩化ビフェニールの略称でビフェニールの水素が塩素で置換されたものの総称で、理論的には210種類の化合物が存在しうるが普通3〜6塩素化合物を中心にした混合物である。
 PCBは、水に不溶、有機薬剤に安定、不燃性、絶縁性が良いといった幅広い性質からその用途は多岐にわたっている。最大の用途は、コンデンサやトランス用の絶縁油であり、その他にも、熱交換器等の熱媒体、感圧複写紙、可塑剤用等に用いられていた。(第4-7-1表)
 わが国においてPCBの生産が開始されたのは昭和29年であり、45年には年産11,000トン程度となったが、46年には環境汚染問題が表面化し6,800トン程度になり、47年には生産が中止されている。なお、輸入は戦前から行なわれていたが、統計がなくその頃の数量の把握はできない。
 昨年までのPCBの生産量および輸入量については第4-7-2表のとおりである。

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