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第6節 

2 農薬汚染防止対策

 残留農薬による食品や環境の汚染等農薬の使用に伴い生じる問題に対して、46年1月に農薬取締法を改正し、農薬の登録検査および使用規制の強化を行なつた。
 すなわち、農薬の登録検査については、農薬汚染を未然に防止する見地から登録申請される農薬の作物残留性、土壌残留性および水質汚濁性を審査することとしており、現在審査判定のため「農薬の登録保留の基準」を設定してこの基準の範囲内で個々の農薬の登録を行なっている。また、48年1月以降に登録申請される農薬については、すべて毒性、残留性の試験成績の提出を義務づけ、これら試験成績に基づいて安全性を審査することになった。
 また、農薬の使用規制については、現に使用されている農薬のうち農作物等または土壌への残留性があり、定められた使用方法によらないで使用されるとき農作物等または土壌を汚染して、これが原因となって人畜に被害を生じさせるおそれのある農薬は、作物残留性農薬または土壌残留性農薬に指定するとともに、使用基準を定めて使用方法の規制をしており、また水質汚濁性があり、水産動植物や人畜に被害を生じさせるおそれのある農薬は、水質汚濁性農薬に指定するとともに、地域を限って使用の規制を行なうこととしている。
 指定農薬およびその他の規制を行った農薬は、第4-6-1表のとおりである。
 また、食品、添加物等の規格基準として、これまでの25食品に係る12農薬について定められていた農薬の残留基準は、48年1月に新たに4食品(かんしょ、そらまめ、小麦、とうもろこし)を加えた29食品を対象として6農薬(MPP、MEP、クロルベンジレート、ケルセン、水酸化トリシクロヘキシル錫、無機臭素)を加えた18農薬について定められ、その範囲が拡大された。同時に、これに対応する「農薬残留に関する安全使用基準」も定められた。
 さらに、水産動物に強い毒性を示すCVP、トリアジン、PCP等45種類の農薬については、「水産動物の被害の防止に関する安全使用基準」を定め、被害の未然防止に努めることとした。
 これまでの農薬の使用規制等の措置によって最近では残留性の高い有機塩素系殺虫剤が著しい減少傾向にあるとともに、第4-6-2表および第4-6-3表に示すとおり、全体として毒性の強い農薬の使用率は低下してきており、低毒性農薬への移行が顕著である。

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