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第3節 

5 その他の施策

(1) 鉱山における鉱害防止対策
 鉱山における鉱害防止については、47年度に創設された那覇鉱山保安監督事務所および、全国8か所の鉱山保安監督局(部)の鉱山監督官等が、鉱山労働者に対する危害の防止とともに、一元的な監督指導を行なっている。
 鉱山から発生するばい煙および粉じんについては、鉱山保安法に基づき有害物質の規制を行なっており、大気汚染防止法と同等またはそれ以上の厳しい排出基準を定めて、強力な規制、監督を行なっている。
 昭和47年度においては、鉱山の監督検査日数の増加を図るとともに、監督検査用の精密検査機器等を整備拡充して、鉱煙の発生源に対する検査のみならず広域にわたる環境の精密調査等を実施し、これら検査、調査の結果に基づき、鉱煙の処理方法の強化等について具体的な監督指導に努めた。
(2) 低いおう化対策の推進
(ア) 低いおう化対策部会の設置
 47年12月には、総合エネルギー調査会専門委員会は、全国の測定点において48年度中に基準達成を目標とした「当面の低硫黄化対策の推進について」意見具申を行なった。
(イ) 47年度において講じた施策
 47年度においては、低いおう化対策の推進のため前年度に引き続いて行なう措置をも含め次のような施策を講じた。
? 重油脱硫
 重油脱硫装置の建設にあたって、日本開発銀行から低利融資を行なうとともに、重油脱硫を実施した石油精製企業に対して、脱硫用原料油1kリットル当たり500円の割合で原油関税の減税を行なっている。
 さらに、重油脱硫装置について、特別償却および固定資産税の軽減という税制上の優遇措置を講じている。
? 排煙脱硫
 排煙脱硫装置の建設に当たって、日本開発銀行の低利融資を行なうとともに、特別償却、固定資産税の非課税等の税制上の特別措置を講じている。
? 低いおう原油の輸入
 低いおう原油の輸入に当たって、1kリットル当たり640円の関税を530円に引き下げ、その輸入促進を図っている。
? LNGの使用の促進
 電力および都市ガスのLNG使用設備建設に対して、日本開発銀行から低利融資を行なっている。
? ナフサ生だきの採用
 47年度から、電気事業および鉄鋼業は、各種脱硫設備の設置までの緊急の公害対策燃料としてナフサを採用し、それに係る揮発油税および地方道路税を免除している。
? 技術開発の促進
 低いおう化のための技術開発を促進するため重油技術研究開発費補助金制度を採用し、ガス化脱硫の技術開発を行なうとともに、日本開発銀行から、排煙脱硫技術開発に対する低利融資を行なつている。
(3) 地域冷暖房
 地域冷暖房等の住宅、ビル街工場群等に対し、温水、冷水蒸気を供給する熱供給事業は、ボイラーや冷凍機といった熱発生装置を1箇所に集中し、温水、蒸気または冷水を導管で供給する事業をいうがこのシステムを実施することにより、ボイラーの大型化による燃料使用量の削減、良性燃料への切換えあるいは公害防止対策が徹底的に講じられることが可能になり、このために大気汚染の防止、快適かつ便利な熱サービスを享受しうるというすぐれた利点がある。現在、北海道の札幌周辺のニュータウンの地域暖房、東京、大阪周辺等の地域冷暖房事業が開始されている。
 通商産業省では、地域冷暖房が、今後の都市施設として不可欠の設備になる傾向があることから、この事業を実施する上の問題点と、必要な施策について、昭和46年1月に総合エネルギー調査会熱供給部会の中間答申を得た。これに基づいて、第68回国会に熱供給事業法を提案し、可決成立した。本法は47年12月20日に施行されたが、その内容は、熱供給を受ける者の保護と熱供給事業の健全な発達および施設の保安確保である。
 法施行時に熱供給事業を営んでいる者は8社で11地点において供給を行なっている。
 48年度中に事業を開始すると見込まれるものが、4地点となっているが、事業計画を検討されている地点は多く霞が関官庁街をはじめとして、ニュータウン、造成、都市再開発に伴う地域冷暖房は各所に普及していくものと予想される。

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