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第1節 

2 環境保全関係予算

(1) 公害対策関係予算
? 総合施策の展開
 今後の環境行政は、公害発生への対処策のみにとどまらず、事前予防のための総合施策の積極的展開を図る必要がある。このため、環境保全長期ビジョン策定に必要な経費11百万円、公害防止計画の策定推進等に必要な経費29百万円、産業公害総合事前調査等産業公害防止対策調査として207百万円、環境保全総合調査研究促進調整費350百万円等が計上された。
? 監視取締体制の整備
 公害諸法の規制の強化、規制権限の地方公共団体への委譲に伴い地方公共団体の監視取締体制を円滑かつすみやかに整備するために要する経費として、監視ネットワーク確立関係経費1,053百万円、測定機器の開発、信頼性確保関係経費19百万円等が計上された。
? 公害関係公共事業の推進
 都市環境の悪化とくに公共用水域の水質汚濁に対処するため、第三次下水道整備5箇年計画に基づき下水道事業費は、98,334百万円が計上された。また、廃棄物の排出量の増大と多様化の傾向に対処するため廃棄物処理施設整備費も大幅に拡大され、8,400百万円が計上された。
 その他各種公害関係公共事業の主なものとしては、港湾公害防止対策事業費632百万円、廃油処理施設整備費427百万円、緩衝緑地事業費800百万円が計上された。
? 公害に関する研究開発の推進
 公害対策の実効をあげるため公害防止技術をはじめ、各分野における研究開発は緊急かつ重要な課題となってきているが、公害問題については、未解明の分野が多く、かつ、その対応も複雑であることにかんがみ、各種研究を強力に推進することとし、環境庁において各省庁計上の関連試験研究の総合調整を行なうとともに、とくに公害の防止等を主目的とした試験研究については、一括計上している。また、国立公害研究所の設立準備を進め予算等を計上した。具体的には昭和47年度において、重要技術研究開発の助成に必要な経費のうち公害対策技術枠300百万円およびクローズドプロセス技術開発費370百万円を計上したほか、国立機関公害防止等試験研究費1,340百万円、害虫の総合的防除法に関する研究129百万円、大型プロジェクトによる電気自動車の研究開発費1,285百万円、資源再生利用技術システム研究開発調整費10百万円、大気汚染の測定方法の標準化に関する調査研究費10百万円、国立公害研究所設立準備に必要な経費8百万円等が計上された。
? 新公害源に対する対策の確立
 光化学スモッグ、PCB、振動等に代表されるように新しい分野の公害問題が起こっている実情にかんがみ、早急にその現象の解明と、人の健康等に及ぼす影響調査、法制の整備を図るべく、対策を確立するため、47年度においては、光化学スモッグ対策費246百万円、PCB汚染防止対策関係費160百万円、振動公害対策関係費4百万円、地下水汚染防止対策費4百万円が計上された。
? 公害被害者保護対策の充実
 水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく等にみられるごとく、公害に係る健康被害者の救済の緊急性にかんがみ、47年度においては、健康被害救済地域指定等基礎調査費17百万円、健康被害救済特別措置費122百万円、環境汚染影響特別調査費22百万円が計上された。
? その他の対策
ア 地盤沈下対策
 地盤沈下については、そのメカニズムの解明が必要であるため、これに関する調査研究を促進する経費として、6,358百万円が計上された。
イ 航空機騒音防止対策
 空港周辺の航空機騒音公害が著しい現状にかんがみ、防衛施設周辺騒音等防止対策費16,001百万円、公共用飛行場周辺における航空機騒音防止対策費5,815百万円を計上し、騒音防止工事の助成、住民の移転補償等を行なった。
ウ 学校公害防止対策
 自動車騒音、排気ガス等の公害による被害を受けている学校の建物の改築その他の公害防止工事を推進する経費として、724百万円が計上された。
(2) 自然環境保全対策関係
 自然環境の保護および整備を図り、自然保護政策理念の確立等開発による破壊から自然環境を保存するため、民有地の買上げの飛躍的拡大を図るための経費として、3,496百万円が計上され、自然環境の重要な要素である動植物、天然記念物の保護のための経費として、137百万円が計上された。
 また、自然環境の保護・保存と同時に自然環境を整備することによって自然環境保全を図るため、12,700百万円、国民休暇村、国民休養地等の各種休養施設の整備を強力に進めるため、269百万円が計上された。

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