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第4節 環境保全長期ビジョンの策定

 昭和46年10月、大石環境庁長官は、中央公害対策審議会に対して、「今後の経済社会の発展、国民の環境に対する欲求の変化などに対応して、望ましい環境の保全をはかるための長期構想はいかにあるべきか」という諮問を行なった。これは、わが国の公害現象がますます複雑化、広域化の度合いを強めたこと、自然保護に対する国民的欲求も高まってきたこと、その中で環境問題の長期的解決の方向が模索されていることなどを背景として、今後の環境行政およびこれに関連する行政の指針となるような長期的なマスタープランの作成を求めたものである。諮問を受けた中央公害対策審議会では、目下、企画部会において審議検討を進めている。
 わが国においては、長期的な観点に立ち、かつ、公害防除、自然保護等の観点をともに含めた環境問題に対する解決の方向へのものの考え方は、未確立の段階であるといってよく、この意味で、今後の環境政策の基本になる考え方を確立することは、当面の急務であろう。

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