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第2節 

7 その他の環境保全に関する主な調査研究

(1) 公害保健調査研究
 環境庁においては、大気汚染、水質汚濁、重金属汚染等の人体におよぼす影響等について、科学的な調査研究を推進するため、地方公共団体、試験研究機関、大学その他の専門団体等への委託または補助により、「ばい煙等影響調査」、「人体における一般金属含有の測定に関する研究」、「水銀による環境汚染調査」、「天草等水俣湾周辺住民の健康に関する調査研究」、「四日市公害患者の医療管理方式の確立に関する研究」等33課題についての調査研究を進めた。
(2) 開発整備地域調査
 この調査は、公害の発生するれのある地域の気象や大気などの環境条件をあらかじめ総合的に調査することによって公害の事前予防に資するために、昭和40年度以来厚生省によって行なわれてきたが、46年7月の環境庁発足に伴い、環境庁がこの調査を実施することとなり、46年度においては、青森県八戸、新潟県直江津、埼玉県南部、山口県東部・小野田、香川県、坂出・丸亀において環境大気調査を、愛媛県壬生川において大気拡散調査を実施した。
ア 環境大気調査
 この調査は、工業開発がある程度進行している地域や既成工業地域の大気汚染の推移と大気等の環境上の諸条件を的確には握するため、通常2年〜3年間にわたって行なわれている。いおう酸化物、浮遊ふんじん、窒素酸化物、ふっ化水素等について、統一的な調査方式により環境濃度の測定を実施するとともに併せて気象条件の観測を行なうものである。
イ 大気拡散調査
 この調査は、いおう酸化物を多量に発生する企業の立地が予定され、また、現にそのための工業開発が進行している地域等について、これらの地域における大気汚染の濃度や分布の状態を予測し、推計することをおもな目的として行なわれるものである。
(3) 産業公害総合事前調査
 通商産業省では、昭和40年以降、今後急速に工業化の進む新産業都市、工業整備特別地域等の大規模な工業地帯ならびに新規埋立予定海域および工業地帯内の重要河川を中心として、これら地域において発生のおそれのある産業公害を未然に防止するため、関係地方公共団体と協力して産業公害総合事前調査を実施してきた。したがって、本調査はこれら工業地域や工業予定地域における新増設計画の工場を集団としてとらえ、これら工場群から将来において発生が予想される公害を予測するとともに、科学的データを基に、工場群に対し工場レイアウトの改善や設備の改善、処理施設の設置、使用燃料の改善等の指導を行ない、これらの指導結果に基づき計画的な工場の新増設計画を行なうことを目的とするものである。46年度に実施した地域は、次のとおりである。
 46年度……水質6(海5、河1)北海道室蘭、秋田県秋田、新潟県新潟、福井県福井、鹿児島県志布志、鹿児島県肝属川)(大気6)北海道函館、青森県むつ小川原、山形県酒田、山口県防府、愛媛県長浜、鹿児島県志布志、
(4) 工業標準化調査
 通商産業省では、大気汚染の測定方法を確立し、測定結果の信頼性を高めるため、連続測定機器による測定方法および機器の性能について調査研究を行なうこととし、46年度はSO2、NOx、CO、粉じんについて実施した。
(5) 調査研究の助成等
 通商産業省では、民間における公害防止技術の開発を促進するため従来から実施している「重要技術研究開発費補助金」の中に「公害特別枠」(補助率3/4)を設け、その成果が主として中小企業に適用されると見込まれる公害防止技術の開発に対して、46年度においては大気汚染防止技術5件、水質汚濁防止技術4件について計2億円の助成を行なった。
 その他、中小企業庁では、「技術開発研究費」により、公設の試験研究機関に対して助成を行ない、中小企業では開発困難な技術の開発についてその推進を図った。
 また農林省では、都道府県農林業関係試験研究機関等の行なう農林業関係の公害研究に対しての助成を行ない研究の促進を図った。このほか、文部省では科学研究費補助金に特定研究として「人間の生存にかかわる自然環境に関する基礎的研究」の分野を新たに設け、国公私立大学関係研究者による研究33課題に178百万円の助成を行ない、また国立大学の公害関係講座学科目の増設を行なうとともに、東京大学生産技術研究所において「都市における災害公害の防除に関する研究」を行ない、基礎的研究の推進を図った。
 なお、46年度において各省庁が特別研究として実施した研究課題は第7-1-1表のとおりである。

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