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第9節 

2 教育関係の施策

(1) 公害地域における児童生徒の健康対策
 大気汚染等により教育環境が悪化し、児童生徒の学習能率や健康が阻害されている現状にかんがみ、昭和46年度から、これらの大気汚染地域の公立の小学校および中学校の児童生徒を対象として、疾病の早期発見と適切な事後措置の徹底を図るとともに、学習能率の向上と積極的な心身の健康の強化を図るため、内科、眼科、耳鼻咽喉科の検診を内容とした特別健康診断、および、一定期間めぐまれた自然環境の中に児童生徒を移動させ、学校教育活動をを行なう健康増進特別事業(移動教室)を市町村が実施するために必要な経費の一部を補助している。
 なお、46年度の予算額は80,187千円であり、補助対象学校は次のとおりである。
 ?特別健康診断
  小学校 293校
  中学校  91
  計   384
 ?健康増進特別事業
  小学校 376校
  中学校 239
  計   615
(2) 公立学校に対する助成
 公害の防止は、根本的には発生源対策が必要であるが、現実の問題として教育活動を円滑に行ない、児童生徒の健康と安全を守るための学校独自の対策も講ずる必要がある。
 このため、昭和43年度から騒音、大気汚染等の公害により、教育環境上著しく不適当な公立学校建物について、公害防止事業として国庫補助を実施(補助率1/3)しており、46年度予算額は335百万円であり、国庫補助実績は第6-9-4表のとおりである。
 なお、基地周辺(飛行場、射爆場)の学校については防衛施設庁において、公共用飛行場周辺の学校については運輸省において、それぞれ騒音防止工事に対する国庫補助を実施している。
 また、私立学校において公害対策として行なう防音工事その他学校施設の整備事業に対し、日本私学振興財団からの貸付けを46年度から新規に行ない、このための資金として4億円を計上した。


(3) その他
 公害に関する教育については、その重要性にかんがみ、従来から学校教育においても社会科等を中心として指導が行なわれてきたが、新たに改訂になった学習指導要領(小学校については46年度、中学校については47年度、高等学校については48年度から実施)においては、さらにその内容が改善され、人間環撹の保全をめざす教育がいっそう適切に行なわれることになった。
 なお、大学においても、公害防止に資する基礎的研究を、関連の学部、学科、研究所、研究施設等において実施しているが、46年度には、これらの研究を推進する一方、横浜国立大学に公害基礎工学に関する講座を設けた。

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