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第1節 

1 環境庁の発足

 公害問題の深刻化、多様化と自然破壊の進行に対処し、環境行政を効果的に実施するためには、公害規制権限を一元的に所掌するとともに、環境保全行政について強力な総合調整権能を有する行政機関の必要性が痛感された。このため、政府は環境庁設置法案を第65回通常国会に提出したが、同法案は昭和46年5月に可決成立し、同年7月1日から新たに環境庁が発足することとなった。
 環境庁の所掌事務および権限は次のとおりである。
 環境の保全に関する基本的な政策の企画、立案および推進をはじめ、関係行政機関の環境の保全に関する事務の総合調整、関係行政機関の公害の防止ならびに自然環境の保護および整備に関する経費の見積り方針の調整や試験研究費等の一括計上等により環境行政の総合調整を図っている。
 また、公害の防止に関する事項としては、公害防止計画の基本方針の指示および計画の承認を行なうとともに、環境基準の設定に関する事務を行ない、さらに大気汚染防止法、水質汚濁防止法その他の公害の防止に関する諸法律の施行、公害防止事業団の監督の事務等を行なうこととしている。
 さらに、自然環境の保護および整備に関する事項としては、自然公園法の施行、国立公園の公園事業の執行、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の施行等の事務を行なうこととしている。

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