前のページ 次のページ

第5節 

3 土壌汚染防止対策

(1) 土壌汚染対策調査
ア 土壌汚染防止法に基づく特定有害物質として現在カドミウムおよびその化合物が指定されているので、昭和46年度においてはカドミウムにより土壌が汚染されている地域およびそのおそれがある地域を対象にその土壌の汚染状況を把握し、同法に基づく農用地土壌汚染対策地域の指定、農用地土壌汚染対策計画の策定等に資するための土壌汚染防止対策細密調査を国庫補助金により43地区約7,500ヘクタール実施した。また、都道府県においても単独事業による細密調査を実施した。その結果についてはまとまり次第逐次公表されており、現在までに公表されたものは第5-5-2表に示すとおりである。
イ 農用地の土壌のカドミウム、銅および亜鉛による汚染の状況等を把握するため、汚染源の位置、用水系統および土壌の種類等を勘案し、水田にあってはおおむね1,000haに1点、畑地にあってはおおむね2,000haに1点の割合で調査測定地点を選定し、農作物、土壌および水を採取し、分析測定を実施した(概況調査)。
 また、農用地の土壌が汚染されている地域またはそれらのおそれが著しいと認められる地域において、現地改善対策試験圃場を設置し、客土、土壌改良等の対策の効果について調査測定を実施した。
ウ 昭和45年度にひきつづき、鉱山および精錬所からの排水によってかんがい用水が汚濁され、農用地が汚染されるおそれのある22の区域について、玄米中のカドミウム濃度、土壌汚染の程度およびかんがい用水の汚濁状況を調査した。
 さらに、鉱山等からの排水に含まれるカドミウム等特定有害物質による土壌汚染地域の被害防止対策の基準を検討するため、碓氷川水域等10地区に対策基準圃を設け調査を実施した。
 また、昭和42年度において渡良瀬川沿岸の鉱毒被害地に設置した客土、排土、土壌改良資材等による展示圃場の運営により被害防止対策の検討を進めるとともに、その効果を広く関係農民に展示してきた。
 そのほか、カドミウム等の特定有害物質による農用地土壌汚染地域の被害防止対策の円滑な推進に資するため、渡良瀬川地区および二迫川地区において、水質汚濁原因追跡調査を補助事業として実施した。


(2) 農用地土壌汚染対策地域の指定等
 土壌汚染防止対策細密調査の結果、農用地土壌汚染対策地域の指定要件に該当する地域については、土壌汚染防止法に基づいて都道府県知事が農用地土壌汚染対策地域の指定、農用地土壌汚染対策計画の策定、特別地区の指定等の手続きをとるようその促進を図っており、現在までに農用地土壌汚染対策地域の指定がなされた地域は第5-5-3表のとおりであり、これらの地域については農用地土壌汚染対策計画を策定のうえ、土壌汚染対策事業が実施されることとなっている。


(3) 土壌汚染対策事業
 特定原因者に起因する土壌汚染による被害を防止するため、客土、排土、水源転換等を行なうものとして、昭和46年度に公害防除特別土地改良事業を新設した。この事業は、おおむね10ヘクタール以上を対象とし、都道府県(おおむね20ha以上)または市町村が行なうものである。なお、当面は、緊急に対策を要するカドミウムによる土壌汚染地域を対象とし、土壌汚染防止法により対策地域の指定が行なわれ、対策計画が策定されたものについて実施することとなっている。

前のページ 次のページ