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第6節 

1 概説

 公害による被害には、人の生命や身体に対する健康被害のほかに、農林業、水産業などに対する被害、住宅その他の財産に対する被害などがある。とりわけ人の健康は一たんそこなわれると、それをとりもどすことが不可能になり、あるいは不可能でないまでもその回復を図ることがきわめて困難なものである。このことは水俣病やイタイイタイ病あるいは大気汚染地域におけるぜん息などの例からみても明らかであり、それだけに被害状況も深刻なものとなっている。
 このような事情からみて、健康被害を未然に防止し、あるいは不幸にして健康被害が発生した場合にすみやかにその救済を図ることは公害行政上もっとも重要な役割となっている。
 このため昭和46年度においては、医療手当の額の引上げ、指定地域の拡大などをはじめとする健康被害救済制度の充実を図るとともに、各種汚染物質による健康影響を究明するため各般の調査、研究を進めてきた。

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