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第5節 

3 赤潮による水産被害の防除

 赤潮の発生機構については、未だ解明されていない点が多いが、窒素、リン等の栄養塩類が継続的に補給され、プランクトン、魚介類、海草等の生物を媒体として、水圏内で循環し、次第に富栄養化が進行することが基礎的な発生要因の一つになっている。
 赤潮発生を防止するためには、排出規制の強化、し尿等廃棄物の投棄の制限により栄養塩類の流入量を抑制する必要がある。なお、生物学的な見地から、藻場の保護造成等漁場環境条件を整備し、赤潮の発生を抑制しつつ生産力を有効に利用することの可能性についても検討する必要があろう。
 赤潮による漁業被害は、養殖あるいは蓄養中の魚介類のへい死といった顕著な事例は別として、天然魚介類のへい死による漁業資源の減少、魚介類の逃避による漁穫高の減少等被害の客観的把握が難しい面がある。また、魚介類の増養殖業の強化拡充が政策的に推進されており、これによる漁業生産の集約化に伴い漁業被害の規模が拡大することも考えられる。
 このような被害の防除抑制のためには、赤潮の発生機構を解明したうえ、赤潮発生を予察する技術および漁業被害を防除する技術の開発を促進する必要がある。

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