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第4節 

1 環境基準の設定

 水質汚濁に係る環境基準(以下「環境基準」という。)は、公害対策基本法の規定に基づき、昭和45年4月21日の閣議決定により設定された。
 この環境基準には、人の健康の保護に関する環境基準と生活環境の保全に関する環境基準がある。前者については全公共用水域につき一律に定められているが、後者については河川、湖沼、海域ごとに利水目的に応じた水域類型を設け、それぞれの水域類型ごとにPH、BOD等の項目について基準値が設定されており、各公共用水域をこの水域類型にあてはめることによって、当該水域の環境基準が具体的に示されることとなっている。この環境基準の水域類型の指定は昭和46年5月31日までは閣議決定により行なわれることとなっていたが、同年6月1日以降は、環境基準に係る水域及び地域の指定権限の委任に関する政令(昭和46年政令第159号)が制定されたことにより、47の県際水域を除き、都道府県知事に指定の権限が委任されることになった。これに伴い、「水質汚濁に係る環境基準について(昭和45年4月21日閣議決定)」は一部改正された。なお、この水域類型の指定および見直しの手続きの改正と合わせて、n-ヘキサン抽出物質を環境基準の項目として追加した。
 さらに、環境庁が発足し、環境基準に係る事務を所掌することとなったことに伴い、従来閣議決定により環境基準の水域類型の指定が行なわれることとなっていた47水域については、昭和46年12月17日以降においては環境庁長官が閣議の了解を得て行なうこととされた。
 次に、生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定は、昭和45年9月1日の閣議決定により江戸川等49水域について、昭和46年5月25日の閣議決定により東京湾等33水域についておよび昭和46年12月17日の閣議了解により大阪湾および有明海の2水域、さらに昭和47年3月31日には琵琶湖、信濃川等5水域につき水域類型の指定が行なわれた。その結果、国が水域類型の指定を行なうべき47の県際水域のうち、22水域が全水域につき、5水域がその一部水域につき指定された。
 都道府県知事に委任された水域について各都道府県知事が水域類型の指定を行なったものは、昭和46年度末までに埼玉県、鳥取県、香川県、福岡県、富山県、岐阜県、徳島県、宮城県、北海道、大分県、秋田県、愛知県、福井県、神奈川県および石川県の15道県の全部または一部の水域であり、その水域数は各関連支派川を含め275水域となっている。その他の都道府県においても、水質汚濁防止を図る必要のある水域につき昭和47年度以降において水域類型の指定を予定している。

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