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第3節 

5 工業用水の汚濁

 全国の工業用水使用量は、昭和44年度には7,441万m
3
/日であり、そのうち回収水を除く淡水補給水は3,862万m
3
/日に達している。そしてこの淡水補給量の60%余りがその水源を河川に求めており、河川水への依存度は今後とも高まっていくものと思われる。
 河川水を工業用水の水源とする場合には、水質汚濁の影響を受けやすく、とりわけ工業用水道については良質の水を得るためには河川の上流部から導水することが必要となり建設コストの上昇が著しくなっている。また、やむなく汚濁の進んだ河川下流部から取水している例もあるが、その場合には、水質処理にかなりの費用を要している。
 工業用水道事業では一般に薬品沈殿により水質処理を行なっているが、これでは、コロイドの除去のとどまり、有機物、金属等を十分に除去することは困難であり、工場の設備の腐蝕等が生じるおそれもあるので、河川の水質がさらに悪化すれば水処理施設の改善が必要となってくる。

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