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第3章 環境保全対策の光と影

 前二章でみてきたように、環境問題は、ここ数年来急激に激化の様相を呈してきたが、その背景は、必ずしも最近になってあらわれた要素ばかりではない。わが国の自然的、歴史的条件に深く根ざしているものもあれば、世界共通の背景もある。しかも、そのなかのいくつかはすでに数年前から、今日の事態を予想させるような芽生えを示していたものもあるだろう。したがって、その時点で適切な対策を打っていれば、今日の深刻な事態を避けられたものもあることは否定できない。今後、政府や企業が環境保全対策を進めていく場合には、過去の立ち遅れをとり戻すことももちろん急務であるが、予想される新事態を事前に先取りして、これに対する適切な対策を用意しておくことが必要であろう。そこで以下、新しい環境保全対策を展開していくという見地から、現時点の環境保全の対策について、どのような点が進んでおり、どのような点に立ち遅れが見られるか、今後新しい事態に対処するためには、いかなる点に焦点をあてたらよいかなどについて検討してみよう。

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