1 下水道事業センター
(1) 下水道事業センターの設立
水質汚濁防止対策としてきわめて重要な役割を果たす下水道事業については、現在総投資額2兆6,000億円にのぼる第3次下水道整備5ヵ年計画の実施を進めているところであり、その完全達成を円滑に図って行く必要がある。しかしながら、その事業の主体である地方公共団体の事業執行体制はきわめて弱体であり、下水道技術者は量のみならず質的にも下水道の歴史の古い大都市に偏在しており、今後新たに事業に着手する都市においては皆無という現状である。建設省では、この問題に対処するため、国のとるべき施策について都市計画中央審議会対してに諮問し、昭和46年8月、同審議会より「下水道事業団(仮称)」の設置の勧奨等を内容とする答申がなされた。これをうけて建設省では、各地方公共団体に対し下水道担当組織の充実を要請(昭和47年2月、知事あて建設次官通達)するとともに、技術者を確保するため、その流動的な活用を図れる組織的なプール機関として昭和47年度において「下水道事業センター」を設立し、今後ますます増大する下水道事業の実施を円滑に行ない、下水道の早期整備を図るための新しい執行体制を確立することを予定している。そのため、センターは建設大臣の認可する特殊法人とし、第68回国会にその設置のための法律案を提出した。
(2) 下水道事業センターの業務内容
下水道事業センターの業務内容としては、次のものを予定している。
? 地方公共団体の委託に基づき、下水道の整備に関する計画の策定、事業の施行ならびに下水道の維持管理に関する技術的援助を行なう。
? 地方公共団体の委託に基づき、終末処理場、ポンプ場等の根幹的施設の建設を行なう。
? 下水道技術者の養成および訓練を行なう。
? 下水道に関する技術を開発しこれを実用化するための研究、調査、試験等を行なう。
なお、以上の業務の実施に要する資金にあてるため、昭和47年度には同センターに対し出資金を国から100百万円、地方公共団体から100百万円を拠出するほか、国から補助金50百万円が交付される予定である。