前のページ 次のページ

第1節 

2 水質汚染

(1) 上乗せ排水基準設定の促進
 上乗せ排水基準の設定を促進するために、昭和47年度は32水域の上乗せ排水基準設定のための調査およびすでに調査を完了した62水域の上乗せ排水基準の設定費の補助を行なうこととしている。
(2) 未規制汚濁源対策
 未規制汚濁源としては、畜舎や旅館あるいは有害物質等の排水のおそれのある病院、試験場等が残されている。これらのなかで養豚場からの排水については昭和47年度早々に規制対象とする方針であり、また病院、試験場、旅館等についても、排水水質等を調査し、その結果に基づき規制対象にとりこみ、あわせて排水基準の設定を行なうこととしている。
(3) 未規制項目の追加検討
 未規制項目としては、火力・原子力発電所および製鉄所等からの温熱排水の温度の規制ならびにパルプ製造業や染色整理業等からの有色排水の色の規制の問題がある。
 温熱排水については、赤外線を用いた航空写真により、温熱排水の拡散状況等を調査しており、昭和47年度はこれらの調査を継続すると同時に温熱排水が水産資源に及ぼす影響調査を実施し、可及的速やかに規制することとしている。一方、色については、学問的にもこの分野の研究が遅れており、まず色の測定方法等の基礎的な研究と有色排水の実態調査を行なう。
 さらに、現在、各地で問題となっているPCB(ポリ塩化ビフェニール)の規制についても検討している。昭和46年度は主としてPCB含有排水の分析方法の開発を中心に研究を進めたもので、その分析方法の確立をまって、可及的速やかに規制を実施するとともに、合わせて汚染実態の把握に努めることとしている。
(4) 排水規制方法の検討
 現在の排水基準は排水の中に含まれている有害物質や有機質や浮遊物質の濃度で規制することとしているが、河川や海域の水質汚濁は排出される排水中に含まれている有機物質等の総量すなわち汚濁負荷量に左右されるものであるから濃度規制では不充分である。
 しかしながら、現段階では汚濁負荷量規制方式をとり入れるには、負荷量の把握に技術的困難性があるので、濃度規制方式と排水水量規制方式の併用方式の採用等の排水規制方法について、中央公害対策審議会の水質部会にはかり、検討することとしている。
(5) 排水水質取締り強化対策
 排水基準を厳正に遵守させるために、昭和47年度から新たに全国5,000排水口について、排水基準遵守状況調査を行ない、その実態を把握し、違反工場、事業場については適正な法的措置を行なうよう都道府県を指導することとしている。また、この5,000排水口はわが国の全排水口の5%程度であるので、都道府県においても、主要汚濁源工場や有害物質の排出のおそれのある工場については、積極的に排水水質の調査を実施するように指導している。
(6) 海域汚染防止のための規制の強化
 昭和47年6月25日から海洋汚染防止法が全面的に施行され、これにより船舶からの油の排出規制が大幅に強化されるとともに、新たに船舶からの廃棄物の排出ならびに海洋施設からの油および廃棄物の排出が原則として禁止され、海洋汚染に関する規制が強化される。

前のページ 次のページ