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第1節 

1 廃棄物処理対策の確立

(1) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行
 この法律は、第64回国会で成立し、昭和45年12月25日に公布され、公布の日から9か月以内に施行されることとなっている。
 本法は、旧法である清掃法の全面改正の形式をとったので、政令、厚生省令についても、大幅な内容の改定あるいは新たな制定事項があり、現在その作業が進められている。
ア 一般廃棄物の処理については、特別清掃地域の知事による指定制度が廃止され、原則として、市町村の処理責任が、その行政区域の全域に及ぶこととなり、サービス実施区域の決定は、それぞれの市町村の自治にゆだねられることに改められるが、その他の一般廃棄物についての取扱いは、おおむね従来からの市町村による清掃事業に基づく方式を踏襲するものであり、廃棄物の処理基準の設定に公害防止の見地からする規制的要素を加味する点以外の事項についてはあまり大幅な変更はない。
イ 産業廃棄物の処理については、まず第1に、事業活動に伴って生じた廃棄物についての排出者責任の確立であり、事業者はその処理を地方公共団体等に委託する場合には、その費用を負担することとなっている。
 第2は、廃棄物の収集、運搬または処分等に関しての技術的基準を定めることとなる。
 第3は、都道府県による産業廃棄物についての処理計画の策定と広域処理事業の実施である。計画の策定については調査がその前提となるが、処分地の確保、処理施設の配置を含む業務分担の基礎として重要となろう。広域処理事業については、大阪府が実施段階にはいっており、補助金および地方債等による事業推進のための助成策が講ぜられているが全般的には、事業者の自家処分あるいは処理業者の手による処理に負うところが大きいものとなるので、地方公共団体の許認可事務および監視業務の強化が図られるとともに、とくに最終処分地の確保に努める必要がある。
(2) 廃棄物処理施設の整備
 現在進行中の第2次の施設整備5箇年計画が46年度で終了するので、し尿の海洋投棄の解消および一般家庭からのごみの量、質両面にわたる変化に即応するため、新たな観点より実態を分析し、将来予測を行ない、一般廃棄物処理施設の拡充強化を図る必要があり、たとえば、都市ごみ中の廃プラスチック類の処理対策についても、廃プラスチック類の専焼炉や廃プラスチック類の混入率が10%をこえても混焼の可能な焼却炉の整備あるいは都市ごみ中の収集体系の再検討、事業者の廃プラスチック類の消費者からの回収・再生利用等の廃棄物処理の近代化が焦眉の問題となっている。
 なお、産業廃棄物処理施設についても、各地域における処理計画の進展状況を考慮しつつ、今後可及的すみやかに全体計画を策定する必要があろう。

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