前のページ 次のページ

第2節 

3 下水道整備事業

(1) 下水道整備緊急措置法の改正
 下水道の整備は、第2次下水道整備5箇年計画に沿って、鋭意促進を図ってきたところであるが、昭和45年度末における排水面積普及率は22.8%である。
 しかるに、45年4月には、水質汚濁に係る環境基準が決定し、同年9月には、この基準に基づく水域類型の指定があって、基準達成のために下水道整備の必要性が強調されたことや、新経済社会発展計画の策定に伴い、旧発展計画に基づく現行下水道整備5箇年計画を改訂する必要が生じたこと、さらに新都市計画法の施行により、市街化区域における下水道を早急に整備する必要があることなど、下水道整備に関する諸般の情勢にも変化が生じてきた。
 このような事態に対処するため、昭和46年3月下水道整備緊急措置法の一部を改正し、46年度を初年度とする総額2兆6,000億円の第3次下水道整備5箇年計画を新たに策定し、強力に下水道の整備促進を図る予定としている(第2表参照)。
 第3次5箇年計画においては、水質汚濁に係る環境基準を達成するため、流域別下水道整備総合計画を策定し、これに基づき、対象地域の下水道事業、とくに流域下水道事業を強力に推進することや、市街化区域の生活環境を改善するための下水道整備を推進するとともに、新市街地における先行的な下水道整備を図ることなどを事業の重点としている。
 なお、第3次5箇年計画実施後の公共下水道の整備見込は第3表のとおりである。


(2) 下水道部の設置
 第3次下水道整備5箇年計画の発足および下水道法の改正に伴う流域別下水道整備総合計画の策定、市街化区域内の総合排水計画の策定、下水道に関する新技術の開発等の今後における下水道に関する行政需要はいっそう増大することが予想される。これに対処するため、46年度において建設省設置法の一部を改正し、都市局に下水道部を設置することとなっている。
(3) 昭和46年度事業概要
 46年度は、第3次下水道整備5箇年計画の初年度であるが、総事業費約2,524億円(国費約665億円)の事業を実施する見込みである。
 公共下水道については、新規に30都市が事業に着手する予定であり、継続分も含めて合計279都市において事業が実施されることになる。その総事業費は約2,101億円を見込んでいる。この結果、排水面積普及率は23.5%上昇するものと見込まれる。
 流域下水道については、45年度からの継続中の12か所に加え、新規に荒川右岸流域下水道等7か所が事業に着手する予定である。
 これらの流域下水道は、いずれも地域内の都市環境整備とあわせて水質保全に寄与するものである(第4表参照)。
 特定公共下水道については、従来の継続事業に加えて、新たに2か所において事業に着手する見込みであり、総事業費は約35億円を予定している。
 また、46年度より新たに流域別下水道整備総合計画調査費補助の制度が設けられ、国費4,200万円が見込まれているが、この計画は都道府県が水質の汚濁に係る環境基準が定められた公共用水域について、その基準を達成するために下水道の整備に関する総合的な基本計画を定めることとなっている。46年度の対象として淀川、石狩川等の9水域が予定されている(第5表参照)。
 なお、前記のほか下水道事業調査として、次の調査を行なうこととしている。
ア 下水処理施設設計の合理化に関する調査
イ 下水汚泥の処理処分および利用に関する調査
ウ 下水の三次処理に関する調査

前のページ 次のページ