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第2節 

1 規制の強化

 水質汚濁問題は、近年の産業活動の活発化、人口の都市集中等に伴い全国的に発生するとともに、その態様も複雑化、深刻化してきている。これに対処して、公共用水域の水質の汚濁の防止になおいっそうの万全を期するため第64回国会において水質保全法と工場排水規制法とを統合した水質汚濁防止法を制定し、全水域を対象とした国による一律排水基準の設定と都道府県による上乗せ排水基準の設定、排水基準違反に対する直罰、排水基準遵守の取締事務の都道府県知事への一元化、公共用水域の水質の監視測定体制等について規定を整備したところである。
 昭和46年度においては、この水質汚濁防止法を施行し、排水規制を一段と強化することとする。
(1) 政省令の整備と水質汚濁防止法の施行
 水質汚濁防止法は、公布の日(昭和45年12月25日)から6か月以内において政令で定める日から施行することとされている。このために必要な関係政省令を早急に整備し、水質汚濁防止法の施行とあわせて施行することとしている。
(2) 排水基準設定事務の強化拡充
 国は、全水域に一律の排水基準を設定することとし、この一律基準では不十分な水域については、都道府県が条例で、水域を指定して上乗せの排水基準を設定することとする。このために必要な調査等を次により行なう。
ア 一律排水基準の設定調査
 国が設定する一律の排水基準の内容に万全を期するための特殊問題調査を行なう。46年度は、産業排水調査(色、温度、地下水汚染のほか、石油化学等3業種の排水の調査、計6種類)および畜産排水調査(養豚、養鶏の2種類)を行なう。
イ 上乗せ排水基準調査等
(ア) 上乗せ排水基準調査
 上乗せ排水基準設定のための水質調査に要する経費を都道府県に補助する。その内容は、従来の水質基準調査および水域指定調査を統合したものとし、46年度は50水域を対象とする。
(イ) 上乗せ排水基準設定の促進
 上乗せ排水基準設定に要する経費を都道府県に補助する。46年度は40水域を対象とする。
(ウ) 排水基準見直し調査等
 排水基準は、設定後の事情の変化に対応し、常時適切な内容のものにする必要があるため、その再検討が必要と考えられる水域につき、順次、基準の見直しを行なう。46年度は、12水域について都道府県に補助して所要の水質調査を行なう。また、4水域について補足調査を行なう。

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