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第4節 

1 都市計画

 昭和30年代から引き続く高度成長に伴う激しい人口・産業の都市集中、都市化現象は、いわゆる都市問題を多岐にわたって惹起している。とくに土地利用計画が確立しないままに進展した地域の都市化では、無秩序な市街地の拡大が進み、街路公園、下水道等の基礎的な都市施設の整備が立ちおくれたまま、都市の膨張が進行してきた。また、これらの地域における土地利用は、住宅、工場等が混在し、騒音・悪臭等の公害問題が引き起こされている。このような事態に対処するため、建設省は、43年度に制定された新都市計画法により土地利用計画の確立を推進することとした。まず、スプロール現象の弊害を防止し、計画的な市街地の形成を図るため、都市計画区域を区分して、市街化区域および市街化調整区域を定めることとし、市街化区域では、都市整備のための公共投資を積極的に行なうとともに用途地域制による土地利用の用途の純化を進め、合理的な都市機能の配置の実現と環境の保全を図り、公害のない住みよい街造りを進めることとし、市街化調整区域では、開発行為の規制により無秩序な市街化を抑制することとしている。さらに、45年度には建築基準法の改正を行ない、土地利用について、従来よりもさらにきめ細かな規制を行なえるように、その用途地域を従来の4種類(住居地域、商業地域、準工業地域、工業地域)から8種類(第1種住居専用地域、第2種住居専用地域、住宅地域、商業地域、近隣商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域)に拡大することとした。市街化区域の設定は、市街化の傾向が著しく緊急に土地利用計画の確立が要請されている804市町村を対象に行なうこととされており、すでにおおむねその設定を完了している、改正建築基準法による新用途地域の都市計画については、法施行(46年1月1日)後3年以内に完了することとされているが、都市における生活環境の改善の緊急性にかんがみ、できる限りすみやかに完了する方針で作業が進められている。
 なお、用途地域の決定にあたっては工業地や住宅地の配置について恒風状況等を配慮するとともに、公害発生源工場と住宅等を極力分離するよう努めるなど、良好な生活環境を確保するよう配慮することとしている。また、これにあわせて公害発生源工場の移転を促進するため、日本開発銀行に公害工場分散を対象とする融資制度を45年度に新設し、工場移転事業に対して融資することとしている。さらに、再開発事業の推進、工場跡地の買上げなどにより積極的に用途の純化を進め、土地利用計画の実現を図ることとしている。

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