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第2節 

1 科学技術庁

 科学技術庁では、従来から、環境科学技術の一環として、公害防止技術を関係行政機関の試験研究経費等の見積方針の調整等を通じて重点的に推進するとともに、特別研究促進調整費を関係各省庁に配分し、総合的に研究の推進を図っている。
 昭和45年度には、悪臭防止技術に関して、比較的構造が簡単で維持管理の容易な悪臭防止装置研究開発を行なった(「悪臭防止に関する総合研究」(3か年計画の最終年度))。騒音防止技術に関しては、個人に対する騒音の影響について人間の活動線に沿ってその実態を明らかにし、この騒音パターンを使用して精神作業への影響を究明し、また、都市騒音の主たる原因となっている自動車騒音についてその影響圏等の面から都市騒音防止技術を究明することにより、総合的な都市騒音対策を確立するための「都市騒音防止に関する総合研究」(3か年計画の初年度)を推進した。
 また、緊急に推進する必要が生じた研究として、45年6月の光化学スモッグ発生を契機に、その発生機構を解明するための基礎研究およびオキシダントや硫酸ミストなどの計測技術の開発研究として「光化学スモッグ現象の解明に関する特別研究」、大気汚染物質の即時立体的計測を目的としたレーザ・レーダーの開発を行なう「大気汚染物質計測用レーザ・レーダーの開発に関する特別研究」、有害性の高い気相廃棄物の処理を科学的データに基づく海上拡散によって実施するための気象性状および予測に関する研究として「気相廃棄物の海上移動態様の把握と陸上影響防止に関する特別研究」、ならびに自動車ガソリンの無鉛化と有害物質の排出防止に関する研究として「自動車排出ガス成分に関する特別研究」をそれぞれ推進した。
 また、資源調査会および資源調査所においては、資源の総合的利用を図るという立場から、環境保全、公害防止に関する調査も行なっており45年度においては、単に公害防止にとどまらず、積極的に資源の総合的利用を図るという観点から「廃棄物の処理体系に関する調査」(44〜45年度)、「都市環境保全のための基本的方向に関する調査」(45〜47年度)等を実施した。
 さらに、「公害を起こさない新農薬の創製開発」を行なうため、特殊法人理化学研究所に予算を支出し、研究を推進しているが、これまでに、昆虫の誘引剤、不妊化ホルモン剤、殺菌剤としての細胞壁合成阻害剤、いもち病防除のアミノ酸系農薬等に関して成果を得ている。
 45年度科学技術庁における公害防止のための調査研究費は第3-15-5表のとおりである。

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