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第2節 公害苦情相談員制度

 公害問題の多くは地域的な問題であり、地域住民に密着した問題であることから地域住民の公害に関する苦情等が、地方公共団体に申し立てられることが多い。このため、従来から地方公共団体においては、その実情に応じて、これを処理してきたが、住民の苦情に応ずる窓口が必ずしも明確でなく、また、その処理体制は必ずしも十分整備されていなかった。本法においては、このような苦情処理事務の重要性と、その処理体制の実情にかんがみ、地方公共団体が公害に関する苦情についてその処理体制の整備充実を図り、その適切な処理に努めることを義務づけている。これにより、地方公共団体は、住民がいつでもどのような公害についても苦情を申し出ることのできる統一的な公害相談の窓口として「公害苦情相談員」を置くこととしている。公害苦情相談員は、都道府県および人口25万人以上の市(46年1月現在、32市)には必置され、その他の市町村においても、その実情に応じて置くことができるものとされている。
 なお、公害紛争処理法に基づく苦情処理体制の充実強化を図るため、第65回国会に提出された環境庁設置法案において、中央公害審査委員会に都道府県の行なう苦情処理についての指導等を行なわせるよう所要の法改正を行なうこととしている。

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