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第2節 農薬の残留対策

 農林省は、農薬残留問題の重要性にかんがみ、安全使用対策を積極的に推進するため既存の農薬については、厚生省が昭和45年11月までに米、果樹、野菜等14作物におけるBHC、DDT等9農薬の残留許容量を設定したのに対応し、当省における調査結果に基づき14作物の農薬残留に関する安全使用基準を定めて指導の徹底を図っている。
 また、BHCによる牛乳の汚染対策については、農林省は農薬業界、農業団体の協力をえて次のような対策を講じた。
1. 44年の稲作後期までBHCを使用し汚染した稲わらの給飼を中止し清浄な飼料を確保する。
2. BHCおよびDDTの製造は、44年12月末をもって中止し、在庫品の使用については、稲わらを飼料とする場合の稲も含め乳牛の飼料とする作物には一切使用しない。また、一般の稲作についても穂ばらみ期以降は使用せず、果樹および野菜についても安全使用を行なう。
 これらの対策を徹底した結果、45年8月までの厚生省の調査によれば牛乳の汚染は軽減されつつあり、当初汚染の程度の高かった西日本においてもβ-BHC含有量が1/3に低下している。
 さらに、きゅうり、ばれいしょなどのアルドリン、デイルドリンなどによる汚染対策については、アルドリンなどの土壌中の残留期間および作物の吸収について調査を開始するとともに、きゅうり、ばれいしょなどを栽培する予定の農地ではアルドリンなどは使用せず、近年アルドリン、デイルドリンを使用した農地では、きゅうり、ばれいしょなどは栽培しないよう指導を行なったほか、有機塩素系殺虫剤で今後使用しないものについては、小規模単位で埋没等の処分を行なうよう指導した。

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