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第1節 

1 工業用水法による規制

 工業用水法は、指定地域においては、一定の基準に適合しない工業用井戸の新設を禁止するとともに、既存の工業用井戸についても基準に適合しないものは、代替水源としての工業用水道の完成後、約1年でその使用を原則的に禁止し、強制的に水源を転換させることとしている。現在までに13の地域を指定地域としているが、その概況は第3-8-1表のとおりである、
 これら指定地域のうち、地下水から工業用水道への水源転換を完了した地域においては、地盤沈下は停止し、または著しく減少しているので、既指定地域のうち水源転換の完了していない地域についても工業用水道の給水開始後できるかぎり早い時期に水源転換を行なうこととしている。
 昭和45年度においては、すでに工業用水道が完成している大阪府北摂地域(豊中市、吹田市、高槻市、茨木市の各一部および摂津市)および大阪府東部地域(八尾市、寝屋川市、大東市、東大阪市の各一部および守口市、門真市、北河内郡四条畷町)における地下水から工業用水道への水源転換を完了した。また工業用水道の完成をみた千葉県葛南地域(臨海部)については、10月2日、東京都城北地域については、12月28日に、また千葉県葛南地域(内陸部)についても46年3月に、それぞれ強制転換の日を定める省令を制定し、この日以後一年間をもってこれら地域における基準に適合しない井戸の使用を禁止することとした。とくに城北地域については、工業用水道の給水開始の日以前にこの省令を制定することにより、水源転換を早期に行なうよう措置した。
 また、水源転換を円滑かつすみやかに行なうため、事業者に対し転換に必要な資金を日本開発銀行および中小企業金融公庫等から低利で融資するとともに、このための取得設備について特別償却および固定資産税の非課税を認めるなど金融上の措置を講じた。

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