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第2節 

2 地方公共団体に対する財政措置の問題

 公害防止計画を作成した地域においては、公害対策事業を短期間に集中的総合的に実施する必要があるが、公害対策事業のほとんどが地方公共団体の手によって実施されており、公害防止計画の達成のためには、地方公共団体の財政上の負担は急増することになる。地方公共団体が実施する公害防止事業に要する費用のうち、企業等の事業者に負担させる部分に対する制度の確立については、第64回国会で成立をみた「公害防止事業費事業者負担法」によって所要の措置がなされたのであるが、国の財政上の特別措置の制定も強く要請されているので、第65回国会に「公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案」が提出されている。その要旨は、公害対策基本法第19条の規定により、内閣総理大臣の承認を受けた公害防止計画に基づいて公害対策事業を実施する地域の地方公共団体については、次の諸事業について国庫補助・負担割合の特例を設け、それぞれの事業費から事業者負担に係る額を除く残額の1/2以上2/3の範囲内において国庫補助負担をすることを定めるものである。すなわち、?特定公共下水道の終末処理施設の設置改築 ?緩衝緑地等の設置 ?廃棄物処理施設の設置 ?公立の義務教育諸学校の移転または施設整備 ?河川港湾等のしゅんせつ ?土壌汚染対策に係る客土その他の土地改良 ?監視測定施設の整備 ?政令で定めるその他の事業、となっているが、さらにこれらの公害防止計画に基づかない事業であっても、上記の?〜?までの事業のうち、自治大臣が関係主務大臣と環境庁長官と協議して指定する事業については、同様の国庫補助負担割合の特例が適用されることになっている。

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