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第4節 

2 鉛、窒素酸化物、炭化水素等

 鉛:昭和45年5月の東京新宿牛込柳町の鉛害事件を契機に、全国的に交通ひんぱんな交差点付近における自動車排出ガス由来の「鉛」による大気汚染が大きな社会問題になってきた。現在の鉛の大気汚染程度では、人体にはほとんど影響はないという専門家の意見もあったが、厚生省では、45年9月30日生活環境審議会公害部会に鉛に係る環境基準専門委員会を発足させ、鉛についての環境基準が設定可能かどうかを検討することにした。専門委員会の結論はまだ出ていない。
 窒素酸化物および炭化水素等:45年夏の光化学スモッグ事件は、従来考えられていた以上に窒素酸化物、炭化水素等による大気汚染が進展していることを示したものといえる。
 窒素酸化物、炭化水素等による環境汚染ひいては光化学スモッグ問題にも対処するため、光化学スモッグの起因物質である窒素酸化物(とくに二酸化窒素)、炭化水素、オゾンなどの環境基準を設定することにし、45年10月13日生活環境審議会公害部会に窒素酸化物等に係る環境基準専門委員会を発足させた。近く報告書がまとまる予定である。

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