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第2節 

2 生活環境の保全に関する環境基準

 生活環境の保全に関する環境基準は、第3-2-1表の2のとおり、河川、湖沼、海域ごとに利水目的に応じた水域類型を設け、それぞれの水域類型ごとにpH、BOD(またはCOD)等の項目について基準値が設定されており、各公共用水域をこの水域類型へあてはめることによって、各水域の環境基準が具体的に示されることとされている。その達成期間については、著しい水質汚濁が生じている水域では原則として5年以内に、それ以外の水域ではただちに達成維持することとされている。
(1) 水域類型へのあてはめ
 この環境基準のあてはめについては、45年9月1日に49水域、について「公共用水域が該当する水質汚濁に係る環境基準の水域類型の指定について」として閣議決定された。また、46年3月22日には、さらに31水域へのあてはめについて水質審議会の答申が行なわれ、政府においてはこれらの水域につき、近くあてはめを行なうこととしている。
(2) あてはめが行なわれた水域
 環境基準は、水質汚濁の防止を図る必要のある公共用水域のすべてについて設定することを原則としているが、そのうちでも水質汚濁に係る公害が著しくなっており、または著しくなるおそれのある水域を優先することとしている。このため、第1回目のあてはめにおいては、優先的に環境基準を設定する必要のある水域として、水質データも整備されている水質保全法上の指定水域48水域と公害防止計画地域である千葉・市原地域の合計49水域、第2回目においては、その後に指定水域となった31水域を対象としている。
(3) あてはめが行なわれた該当水域類型
 あてはめされれた水域を概観すると、河川では、一般に上流部についてはAA、A、Bが多く、中流、下流になるにしたがってC、Dとなり、都市部を流れる下流においてはEが多くなっている。これは、おもに利水目的、現状水質等との関連によるものであり、たとえば河川のAAは自然探勝等のレクリエーション、ろ過等による簡単な浄水操作による飲料水、ヤマメ・イワナなどの魚類の生息などの利水目的に適した水質が定められており、これに該当する水域として、木曽川上流、狩野川上流等があてはめられている。また、これと対照的に、河川のEは、日常生活(沿岸遊歩を含む。)に不快を感じない限度の水質が定められており、東京、大阪、名古屋等の大都市を流れる河川の多くがこの類型となっている。しかしながら、同じく大都市を流れる河川であっても、住民の水道原水としての利用目的を有する多摩川、江戸川、淀川等の一部水域については、AまたはBの水質の確保が図られている。
 海域については、一般に港内または都市河川の河口部ではCが多く、外洋になるにしたがってB、Aとなっている。しかしながら、漁場の確保という観点から極力Cの範囲を限定している。

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